もし・・・
だんだんと秋が深まってゆきますね。
秋空のさわやかな青、とても好きな色です。
なぜかしら、あの夢を見て以来
あなたのことばかり考えている
夜眠るときにも
朝目が覚めても
あの夜のことばかりを
ずっと忘れていた
川べりでの、あの夜の出来事
悪ふざけのつもりでじゃれあっていたのに
いつの間にかあなたに抱きしめられ
キスを
その瞬間に、それまでちっとも気付かなかった
あなたの私への気持ちが
とろけるような快さとともに
一気にわたしにおしよせてきて
私はただとまどい・・・ごめんなさい、と何度もつぶやきながら
泣いてしまったのよね
あなたはあの言葉を勘違いしたのかもしれない
気持ちには応えられない、と
ちがう・・・
本当は心のどこかであなたに憧れ、恋焦がれる私がいた
けれど、それは絶対にかなう事のないものだと
希望をもつことすらしなかったの
だからあなたが他のだれかとつきあっていたときも
嫉妬心もわかなかった
もし・・・
もしあのとき、あなたが私にキスをすることもなければ
あの恋心を私はなんの苦労も未練もなく消し去ったでしょう
もし・・・
もしあのとき、私が泣くことなどせず
あなたの気持ちにまっすぐに応えていたら?
そうしたらあなたは、あのキスのせいで
初心な私があなたに恋をしたなどとは
思わなかったでしょう?
そうしたら今頃、私たちはどうしていたのだろうか
夢
こんにちはおひさしぶりです。
突然のメールですみません。
さいきんどうしてますか?
今朝あなたの夢を見てしまいました。
あなたとふたり、あなたの車にのっている夢。
貴方と会っていた頃はいつも車のなかでしたものね。
そうしてあなたはなにを話すこともなく
ただ、私を海の見える家につれてゆくのです。
私からも、どこへゆくのかとたずねることもなかった。
このあとなにが起こるのか、わかっていたから。
海は嵐がちかづき、大しけでした。
紅い屋根の家につくなり
互いの気持ちを一気にはきだすように
つよく抱き合った。
あの荒れ狂う海のようにただ強く強く求め合った。
なぜ、いまさらあんな夢を・・・?
私がいまだにあなたへのあの気持ちを消せないでいるとは
自分でも信じられない。
長く私を苦しめてきた、あなたのわたしへのくさびが
まだ取り除かれていない。
もう6年にもなるというのに。
私はただ、ずっと自分を騙していただけなのかもしれないと初めて思った。
いろんなことが、おしよせるように思い出される・・・
時には先輩と後輩であり
時にはライバル
時には恋人で
時には親しい友人だった
わたしたちの不明瞭な関係は
私が結婚することで友人という形におさまった。
お互いが大切な存在だからこそ、
肉体関係という壁をけっして越えないように
必死だった。そうですよね?
あの壁を越えなかったことで、私はすばらしいパートナーと
幸福な結婚ができたと、とてもあなたに感謝しているのです。
たった一度きりのくちづけから
あなたが私に触れるのを耐えていたのは知っている。
・・・あなたよりも10年下のまだ若かった私をきずつけまいと
してくれていたのだというようなことを、その後あなたの親友からきかされたから
若かった私にはわからなかったことが
今の年になってわかりはじめたの。
とろけるほどに快かったあのくちづけで
あなたに夢中になりそうだったのを
わざとそっけないふりをして・・・。
若さ故に怖じ気づくこともない
私の夢を未来をこわさぬように見守ってくれていた
あなたの心には
私の才能への嫉妬もあったはずなのに
ありがとう
感謝の気持ちでいっぱいです。
でも、このもやもやした感情はどうしたらいいの
書いても書いてもわからない。
わたしはやっぱり
あなたを求めている
話がしたいわけじゃないの
ただ、触れたい
求められたい
あの夢は
私の心のなかの欲望にすぎない
私はもう
夢を追う、若くて才能ある女じゃあない
あなたが好きだった私じゃない。
この気持ちはあなたに届く事なんてないだろう
誰に話すこともないだろう。
こうしてかきとめて
ただ風に漂わせる。
