4月初旬からマッチングアプリで出会った人と
別れた。前日まで私たちは順調だった。いや
正確にいえば、違和感を感じてはいたが我慢
していたのだと思う。僅か3ヶ月で交際が終了
した背景には数々の理由がある。相手が還暦の
男性、私は40代であるが私は一度結婚生活に
失敗している身とあり結婚を望んではいなかっ
た。相手は有料のお見合いサイトで何度も女性
を紹介されては理想の人と巡り合わず疲弊して
今回マッチングアプリを試したと言う。非常に
硬派で、話す日本語が美しく会う前の段階から
好印象満点の人であった。県外の人ということ
で、会うのは毎月3回が限界であったが毎日の
22時からの電話が2時間以上に及ぶほど私たち
は話が尽きなかった。
しかし彼は家柄の深い事情を抱えているようで
どうしても子供を望んでいた。過去にもその件
で5年間交際していた女性と別れている。彼女
にはすでに連れ子が3人いて、2年目で新たな
子供が望めないと分かっていたが、ダラダラと
5年間交際していたのだと言う。その過去の話
を毎回語る部分も私は違和感を感じていた。
信仰者でないと言うだけでも一つのリスクで
ある。やはり道徳的な部分や思考が違うからだ。
致命的だったのは、話し合いができないという
点である。逃げるのである。電話でその分野に
なると「話したくなくなった」と一方的に切る
癖が彼にはあった。これは交際していても不快
であった。こういうことが3ヶ月間に数回起き
私の中で終焉を感じ始めていた。そして思考は
現実化してしまったのである。私の心境はこう
だった。「やっぱりな」
インスタント的な出会いに私が思考を向けた地
点でこの現象は起きていた。本来は自分の心と
向き合って、神が備える正当な出会いが来るか
どうかは別として自分の内側の寂しさや悲しみ
と向き合う必要があったのだ。一過性の満たし
というのは副作用が大きい。その原因が分かる
から、この別れに対して執着は一切なかった。
大人の恋愛は何気なくスタートして何気なく
終わることもある。いちいち「さようなら」と
言わないのだ。不思議なことに私が別れを決断
した時に、電化製品の2つが不具合をきたした。
これはサインだったのだと思う。
最後に私はLINEで相手に対して放ってしまった
言葉を謝罪して静かに幕を閉じた。勿論相手は
既読のみで返信はない。それで二人の関係性が
終了したことを悟った。これでよかったのだと
思っている。