ある人が脳神経外科を経営しているとする。
そこに脳ドッグの検査に行ったと仮定する。
この二人は友人であり、家族間の付き合い
がある。そのため脳神経外科に受診の際に
奥さんが事務員として所在している時には
診療代が無料であった。そこに甘んじた人
は、毎回ごとにこの奥さんがいる時を確認
して脳ドッグに行っていた。ちなみにこの
脳神経外科のご主人の方は勿論通常通りの
診療代金を請求していた。当たり前である。
この話を聞いて違和感しかなかった。
この奥さんにも問題がある。
診療報酬を私的な理由で無料にできるのか?
他の職員や患者に対してどう説明するのか?
この親切を受けた人は、この行為に何の疑問
も感じずに甘んじたのはなぜか?
この話をサラリと私に語るので戸惑ってしま
った。意見することはしなかったが、この人
と親しくなるのはやめようと思った。やはり
偏った思考の人には、偏った思考の人が寄る。
大人になれば、いちいちおかしいと指摘せず
静かに立ち去る方が多くなる。それは保身だ。
人間関係の基本は「借りを作らないこと」だと
私は思っている。小さな親切を受けても忘れず
それを当たり前だと思わず、何かの折にはお礼
をするくらいの心構えがないと、人間は怠惰に
なって僅かなところからほころびが出てくる。
身につまされる一件だった。