若い衆にはキャッチボールやバトミントンなどよく遊んでもらった。

ボールや羽根が飯場の屋根の上にあがったり、

隣の工場の塀の中に入ることがよくあった。


飯場は2階建て、工場の塀は2Mくらいあったと思う。

普通なら取り戻すのを諦めるだろう。


でも、鳶は取り戻すことができるのだった。


登る前に少し考えてから

外階段や雨どいなどをつたい、さっさと登っていく。


塀のてっぺんを見て少し考えてから

助走をつけて飛びつき、懸垂で上がり乗り越える。

帰りは工場の壁と塀を使う。


登る前の少しの間は、コンセントレーションだったのか

登る足取りのシミュレーションだったのか。


どちらにしろ、わたしはボールも羽根も失くすことがなかった。