ムスメを担当する加配保育士さんは同じ年頃の子供を持つ女性でした。加配”保育士”と言っても単なる保育士ではなく、何らかの発達障害がある子供の教育・サポートする『Pädagogin(療育士)』です。
週三日、1日3〜3・5時間。加配保育士さんはその時間、ムスメから離れずにぴったりと同行。
ムスメはコレと思ったことは曲げない、曲げたくない、コレと思ったことしかやりたくないというとても頑固な性格。しかも短気で、できないと思ったら苛立ってすぐあきらめる。例えば鉛筆の持ち方を教えようとしても触られるのが嫌、自分でできるようなりたい、なので拒否する。おまけに意志を伝えるのが難しいので結果が考えていたのと違ったときは泣いて思いきり嫌がることがありました。
最初は『きっちりと物事をさせようとする』加配保育士さんとそんなムスメの間で『Machtkampf(権力争い)』が多く、他にもいくつか目立つ点はあったようです。
物を投げる・落とすフリなどをして、どこまでやれば怒られるのか『境界』を測る。挑発して怒らせるためではなく、そうすることでその境界がいつもある(同じである)ことに安心している。
自分が好きな年下の女の子と男の子の2人だけにしか興味がなく、その子たちがいなければ1人でいるか探す。またその子たちが他の子と遊ぶことをかなり強く拒否して認めない。2人ともまだ3歳ぐらいでムスメと同じようには”想って”いなかったので、一方的だったムスメは立派なストーカーだと思いました…。
言葉とジェスチャーで伝え方がわからない。だから人の気を引くためにネガティブなことを多くしました。小さな子をどんと押す、小さな子の眼鏡を取る、レゴの家などを壊す。一見すれば乱暴な子。私も過保護な母親のようにそんなムスメにしっかりと付き添い、公園でも小さな子のところへ行きそうになるとすぐに手を持って止めていました。
加配保育士さんの意見によると、ムスメは『Wahrnehmung(知覚)』が弱い。手足など自身の体のことをまだはっきりと感知していないとのこと。現に身体能力も遅れ、単純な色塗りや紙をハサミで切るのも困難でした。
何ができるのかと言われてすぐに答えられず、出来ないことならすぐに答えられたムスメに対し、そこはやはり療育士さん。作業療法を取り入れたお絵かきや工作などで訓練、みんなとお遊戯に参加できるように。
しかしながら加配保育士さんがついても、集中力の欠如が原因の多動があまり向上されないようでした。ある話し合いで加配保育士さんがあることを聞かされました。
『感覚過敏』
ムスメは『感覚過敏』だと言われました。私はその言葉を今まで聞いたことありませんでした。そしてその言葉を聞いたとき、ムスメの多動な行動に納得した気がして、まるでさあっと霧が晴れていったようでした。
それではまた。