一週間ちかく、間が空いてしまいました。
ちょっと仕事関係で色々と、、、と言うのは言い訳で、あまり気が乗らなかったのが本音です。
話はずれますが、会社の先輩に貰った言葉で大事にしていることがあります。
「『忙しい』と言わずに『大変だ』と言いなさい」というもの。
「忙しい」と言うと、自分への仕事が逃げていって、いつまでも成長しないのだそうです。
なるほどなぁ、と思って心に刻みました。
で、何故、気が乗らなかったかというと、前の話に戻るのですが
恐らく著作権が切れているけれども、採録されていない大好きな作家がいるのです。
デイモン・ラニアンという海外の作家なのですが、こうなったら
「いっそ、自分で翻訳をしようかな」
と考えて調べている内に、時間が経ってしまいました。
翻訳の問題って難しいですね。国によって保護期間が違うので、恐らく大丈夫、と思っても油断できません。
誰か詳しい方がいたらアドバイスをいただけないでしょうか、、、
と、言ってずっと放置するのもよろしくありません。
そこで海外文学への欲求が抑えられず、こちらの作品を選びました。
ジョージ・オーウェルは『動物農場』や『1984年』などで有名ですね。
この『象を撃つ』は以前、紹介したポプラ社の百年文庫に採録されており
私が初めて読んだジョージ・オーウェルの作品です。
という訳であらすじ、です。
ビルマの警官として働く主人公。しかし、当時ビルマはイギリスの権力下に置かれており
当然、現地の人からは良く思われていなかった。
しかし、そこで事件が発生する。
なんと町で飼われていた象が暴れだして、対処しなければならなくなった。
当然、職務として銃を持ち出す主人公。
ただ、この主人公。
本当は気弱な性格で、白人でありながら帝国主義的なイギリスも良く思っていない。
とはいえ、行動をする訳でもない、いわゆる「事なかれ主義」な人物だった。
暴れた象を撃ちたくない、と思いながらも現地の人たちが野次馬のように集まって
象を処分する様子を期待してくる。
そして遂に問題の象を見つけた主人公は……
という話。
で、ちょっとここからネタバレになります。
結局、象を撃つんですよね。主人公は。
ただ、それは人を殺してしまった象を退治してやろう、というような力強い意思からではなく
背後にいる民衆からの期待が怖かったから撃ったというもの。
そして彼は議論の的になる。
象を殺すべきだったのか、否か、という議論。
ただ、それは主人公からしたら的外れな議論なのです。
正当防衛だとか、どうとか。
彼の心の問題はもっと別のところにあるのに。
つまり、彼は銃を使用したのだが、それは彼の純粋な意思からではなく
周りの声に押されて、周囲の状況が彼にそうさせて、というもの。
彼の書いた1984年は反全体主義的内容で有名な作品です。
そうしたレンズを通して見ると、この作品も深みを増してくる。
ドイツなどで恐ろしい行為に協力したのは、いわゆる「普通の人たち」だった。
彼らに善悪の判断がつかなかったのか、というとそんなことはない。
でも、それをしないと周りが許さない環境だった。
「1984年」が社会全体に着目した小説であるならば
この「象を撃つ」はその構成要員の一人を比喩化した存在ではないか、と思うのです。
先に言うと、単体でこの作品を読むと結構退屈。
できれば、ジョージ・オーウェルの代表的作品を読んで、その上で補完的な要素として楽しむのが良いのではないでしょうか。
ただ、「1984年」や「動物農場」などはまだ青空文庫に採録されていません。
なので、このレビューを参考にしていただけると幸いです。(笑)