弾性板の上に砂を撒いて板を振動させると砂がパターンを描く、
という事実があります。そのパターンをクラドニ図形(Chladni figure)と言います。

Netで調べて見ると、弾性板U=u(x,y,t)の振動方程式に、
ソフィ・ジェルマン(Marie-Sophie Germain)の式、
(δ2/δt2)U=-D{(δ4/δx4)+2(δ4/δx2/δy2)+(δ4/δy4)}U, (1)
があります。これを数値的に解くことを考えます。

式(1)の意味：
加速度がUの空間分布によって変化する、ことを表現しています。
同式は数値的なゴリ押しでは解けません。誤差の蓄積で×です。

そういう場合は(d/dt)U=V(x,y,t)という速度量を導入して、
連立偏微分方程式に変形して解くのが一般的でしょう。
しかし、U,V間の数値微分、数値積分の交互の繰り返しになって、
あまりやりたくないです。

それで、時間変化の無い図形を見たいだけなら、
(δ2/δt2)U=0でもいいのでは？と思って、再度、式(1)を考えて見ます。
すると何で4,2乗項だけなのだろう、と思いませんか？

Uは二次元量だから2Dフーリエ変換できます。
するとcos(αx+βy),sin(αx+βy)と係数の級数です。
αβは展開周波数で、整数、正負０の値です。
展開区間は対称にする方が扱い易いから[-π,π]とする。

これなら4回ぐらい微分しても誤差は蓄積しない。
cos(),sin()は4回微分すると係数は別として元の関数形に戻る。
式(1)は次元数が違うがNewton方程式と量Uに関して同型で、
非常に美しいですね。ジェルマン先生すごいです。

物理的には固体内の波の伝搬は、縦と横波を考えなければならないから、
式(1)１個ではなく、同型の複数の式の連立方程式でしょう。
だから式(1)を数値的に解いてもクラドニ図にはならないと思います。
それにスカラー係数Dも、本当は振動の中心点からの距離の関数ではないか？
と思います。でないとフーリエ的に見ると、
現象を時間発展させると波の振幅が周辺程大きくなります。
固体中を無減衰で進む波は無いでしょう。

式(1)はとても美しいので、PCで、いろいろな初期U()で数値計算して、
どんなパターンが得られるか遊んでみるのも良いですね。

これは趣味ですので、遊んでもいいんです。

以下は試行例です。これらがジェルマン先生の見えていた世界なのかと。

----2024.6.7 追記

1段目：　初期状態

2段目：M=-5~5, iteration=5, D=0.1.　媒体自体は不動であるが、振動は拡散する。

3段目：M=-10~10 & even; iteration=10, D=0.1 per iteration,

∫1s=5.586, ∫2s=-6.975, ∫d=0, ∫f=0.　高周波を強調した場合の拡散。

4段目：M=-15~15, D=0.9/|max(the 4th derivative function)|, iteration=10.

∫1s=5.586, ∫2s=-6.975, ∫d=0.3042e-7, ∫f=0.263e-17.

これが物理現象に近いのではないかと。