傘を持たずに出掛けた私…。
バスを降りると、
小雨が降り出していた。
横断歩道の信号は赤。
帽子は被ってはいたけど
さすがにこの寒さの雨は冷たい。
一メートル先にあった屋根つきのマンションの駐車場がみえたので
信号が変わるのを、ぼぉっとしながらその屋根の下で待っていた…。
すると
その直後
マンションから人が出てきたので、
パッと、無意識に見てしまった。
その人は、ビニール傘をパッと開いて
5歩、歩き
私の前を通り過ぎたと思ったら
急に立ち止まり
私の前に戻ってきた。
その人◆『これどうぞ』
と
見ず知らずのその人は
私に、さしていたビニール傘を渡してそういった。
aiko◆『いぇ、大丈夫です』
と、2度程断ったが
その人は◆『同じ傘、戻ればありますから。どうぞ持っていって下さい』
といいながら、
マンションの扉の奥に消えてしまった。
aiko◆『ぁっ…ぁぁ~。』
あまりに咄嗟の事に、声にならず、
【ありがとう】の御礼を言う前にその人はいなくなった。
追って行くのもおかしいし、
その人が
再びマンションから出て来るのを待つのも
違うかなと思って
戸惑いながらも
信号が青に変わったので
私はその傘をさし
走るはずだった道路を
ゆっくりと歩き始めた。
一度だけ
振り向いたけど
その人の姿は見えなかった。
精一杯の『ありがとう』を心の中で夜空に向かって
2度程繰り返した。
なんだかドラマチック。
続きはもうないけどねっ…(笑)
ちょっと早いサンタさん、どうもありがとう☆
終わり。