『優しくてあたたかい…
守ってくれてる…
躰も痛くない…
これは主様…?
ごめんなさい
誓いを…約束を破ってしまって
ごめんなさい…』
「主様…!」
目覚めると、あたたかい白銀に包まれていた。
「え…主様じゃ…ない…?」
「気づいたか」
顔を上げると、白銀の狼の懐の中にいることに気づく。
「ひぃゃぁ~~~!!!」
驚き慌てて逃げようとする仔狐。
「まだ動くな」
狼は たすっ と前足で仔狐を優しく押さえる。
「た…食べないで~!!!」
「喰いなどしない。落ち着け。」
震える仔狐を狼は優しく諭す。
「柊に頼まれたんだ。お前を社まで運ぶようにな。」
「柊…かくまってくれたんだ。主様に森から出ないように言われてたのに、約束を破って…。
そしたら人に襲われて…。」
「…そうか」
「襲ってきた人たち…黒い嫌な空気を纏ってて…鬼みたいだった…」
「それは邪気だろうな。悲しみ・憎しみ・恐れ・恨み…人の暗い邪な感情に憑いて心を喰らう。」
「あの人たち…どうなるの?」
「喰われた魂は戻らない。誰を恨み、陥れた罪は消えないからな。誰かを傷つけた分だけ、己に返ってくる。」
「…助けてあげられないのかな…」
「…それより、今はまだ眠れ。傷を治さねばな。」
狼は自身の躰で仔狐を守るように包む。
静かな森は、しとしとと雨が降っていた。