ーカナダ移民体験Ⅱー

カナダに戻った年の秋は、珍しく雨が少なく、お日様が顔を出す日が多かったこともあり、気持ちも自然と前向きになっていました。

以前も書きましたが、カナダの学校には『クラス』や『担任の先生』といった制度がなく、クラブ活動を担当する先生もいません。

この仕組みが少々やっかいで、最初は戸惑うことばかりでした。

子どもは部活のチームに入れたのですが、まだキャプテンは決まっていませんでした。

コーチは、同じ学校の上級生や卒業生、あるいは以前指導していた先生がボランティアで関わっているようで・・・

正直、何がどうなっているのかよく分かりません。

部活動の時間も決まっていないため、スケジュールの把握方法が分からず、（しかも息子はチームメイトに聞こうともしませんでした。）私は右往左往するばかりでした。

そもそも、誰に連絡を取ればいいのかも分からず、連絡手段すら見つからないのです。

けれど、後になってスケジュールは掲示板に書かれていると判明。
なんとか練習日を把握することはできました。

全体の流れが見えてくると、もしかしたら日本よりも気楽なのかもしれません。

ゆるゆるの部活動なため、親に対して細かい要請もなく、保護者同士の連携やサポートも今のところありません。
仕事をしている身としては、こういった点がありがたいと感じることもあります。

ただ広い視野で見ると、息子が社会人になった今、日本の部活システムが子どもの将来に大いに役立っています。

厳しい指導により、忍耐力、外部での礼儀作法を身に着けてもらったうえ、

チームで一丸となって戦う、

それに両親も参加する、

そんな指導を無料で受けられるっていう体験は本当に貴重なものでしたから。

ただ、それにしてもなぜ「クラス」や「担任の先生」が存在せず、「クラブの担当教師」もいないのか、不思議でなりません。

そんなとき、ふと、日本でお会いしたお客様のことを思い出しました。
その方は学校の先生をしておられ、「親御さんや上からの要求が厳しくて、ものすごいストレスです」と話しておられました。

その言葉通り、身体はガチガチに凝り固まっていたのが印象的でした。

もしかしたら――これは私自身の考えですが・・・

一人の先生に過剰な責任や負担が集中しないように、という配慮なのかもしれません。

統制 VS 無秩序