特捜最前線というドラマには、単に推理、爆弾、誘拐、完全犯罪などという刑事ドラマにありがちなステレオタイプのものは求めていない。現在となってはありふれたテーマだが、現在のドラマにはないものがこれにはあった気がする。それは現実的悲劇というか、決して解決しない終わり方というか、一般人が抱える悩み、ややもすればアルアル的なより現実に近い非現実世界。そして、ここに出てくる女優さんをいかにフォーカスして撮るか、ということだろうか。このドラマの主人公は、以前の行方不明の愛で出てくるような女優さん(あるいは男優さん)ではなかろうか。たしかに刑事たちがメインで仕事をするわけだが、ここに出てくる女優男優は我々一般人の投射である。だから我々は、刑事というエリートに感情移入するわけではなく、悲劇を被った女優男優に感情移入させられるわけである。なぜなら我々はエリートではないからである。凡人だからである。凡人を扱うドラマは最近見ない。まして悲劇的な終わり方をするドラマは最近ではご法度であろう。しかし特捜最前線は違った。だから逆に新鮮なのである。子どもの頃に見たリアルタイムのものではわからなかった内容が、今大人になった我々が見て新鮮に感じる。この私の愛の墓標に出てくる女優さんは、正直わからない。さほど美人というわけでもない。しかし人間の持つ様々な顔を表現していることは確か。そして一番はこのラストシーンで、セリフも少なくただ墓全体をズームアウトしていく叙情的なカットは、何も言葉はいらない、むしろ言葉は邪魔なものと見る者に伝えてくれる。話自体はさほどでもないが。