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公式塾長のブログ

学習塾特命係



荒井由実名義の「あの日にかえりたい」という曲は、タイトル通りの過去を振り返る意味を含めても、その曲調には郷愁感や懐かしさがあり、バックボーカルの山本潤子の声もあって、ネガティブな歌詞でありながらどこか明るさがあるものだった。対してこのユーミンバラードベスト(初回限定盤)にボーナスとして入っている、松任谷由実名義の「あの日にかえりたい」は、バックは小野リサのボーカルとアコースティックギターのみで構成され、文字通りボサノヴァアレンジでの曲となっている。ここで不思議なのは、ボサノヴァというものが明るいイメージを持つのに対し、松任谷由実本人のボーカルは非常に気だるい、暗さを漂わせて歌っている。つまり、ネガティブな歌詞をネガティブに歌いあげている感じである。ここでの心理の変化として、デビュー当初の若い人が考えるあの日にかえりたいという心情と、50代を迎えようとしているあの日にかえりたいという心情は異なるように見える。言い方はおかしいが、あの日にかえりたいという憧れを持っていた若い頃と、あの日にかえったところでどうするの、現実は理想と違って自分たちががっかりするだけだわ、という熟年の対比が、この時代を超えたふたつの「あの日にかえりたい」が描く世界観ではなかろうか。それを歌い上げているのは、時代を超えた本人である。そのように仕上げたユーミンはすごい。私はなぜかこちらの新しい「あの日にかえりたい」が好きである。年をとった証拠だろうか、あの日はもしかしたら、夢のまま終わらせた方が良いのかもしれない。なぜなら、あの日はもうかえってこないのだから。