中学の時私は初めて恋をしたと思う。

初めて男の人を好きになった。
同級生でクラスは違ったが、同じクラブの人だった。

中学二年生の時の事だ。
その中二の初恋話。

私は今からは想像もつかない程剛毛&毛量過多の中学生だった。
どれくらい剛毛&毛量過多であったかと言うと、他人が髪の毛を1つに結わえるその一房が、私の頭には二房くっついている…。と、そう言う事だ。

過多で剛毛で天然パーマでソバカスだらけの痩せっぽちな少女。
勉強は出来ない。
どれくらい勉強が出来ないかと言うと、中間テストなどの順位が出ないのである。
350人生徒がいるとしよう。
350人全てに順位をつけると傷つく人がいる。(そうかな?)なので学校側は、300位から後は、「要努力」と言う言葉でお茶を濁したのである。
私は常に、順位の分からない組だった。
順位が分からないから、平和に過ごしていた。
たまに順位がつくと299位とかで、本当に目で見てバカってよく分かる。

スポーツは?と言うと、まず基本的に苦手。やりたくない。走ればドタバタだし、マット運動なんて頸椎捻挫しそうな勢い。ドッチボールでは、いの一番に退場。

こんな中学生ってたくさんいる。と思うが、ここら辺まで行くとほぼ悩みはない。向上心もない。

希望として、この湧き上がる感情の初恋が成就しないかと中学生活の全てを賭けてみる。

一房の髪を2つ下げてる私は考えた。

バレンタインデーと言うものがある。
年に一度オンナのが方から告白をしても良い日である。
これを小学生の頃から手作りチョコなどを作って渡している人もいた。なんて、ませているのだろうか?


私は世間の波に乗り、バレンタインデーにその好きな人にプレゼントをしようと画策した。

私が選んだのはバインダーである。

信じられない位、趣味が悪い!

何故バインダーだったのだろうか?チョコレートではなくバインダー!

直接渡す勇気などあるわけがなく、色んな人をまたいで、そのバインダーは届けられる事になる。

移動教室の時に、その好きな人のクラスのお調子者がそのバインダーを渡す手はずになっていた。

お調子者は、流石にお調子者。衆人が、見守る中大きな声で渡したらしい。

移動教室から、帰って来た隣のクラスの面々は一人残らず私を確認した。
渡された本人も目を釣り上げて私を確認した。


最後に背中を丸めたお調子者が通った。唯一私の方を見なかったのである。

私はこれで、全てを悟った。
告白は失敗したのだ。
ご丁寧にバインダーも返品されて来た。
お調子者が神妙に持って来た。

私は、最初からこの結果が分かっていた様な気がした。


茶木君!


お元気ですか?