歌謡曲が一部の大人によって迫害される事はよくあった。
歌ってはいけない。
学校で禁止になった歌がある。
ケメ子の歌⬅︎[クリックで聴けます]
帰って来たヨッパライ⬅︎[同上]
学校で禁止されるのは、PTAがダメと言ったからである。その頃PTAは、身体に悪いものを超排除していた。
清涼飲料水が槍玉に上がった。
某雑誌の影響は凄かった。
末端のおばさんまで、人工着色料とかそう言った人工的なものは、子供の脳を蝕み、死に至らしめる。位の勢いであった。
理由は!
人工着色料を使うと毛糸が染まる!!
ほー。染めとけや。
とはならない。
可愛い子供の身体に毛糸まで染まる着色料が入ったら、死ぬ。
その雑誌とはNHK朝のテレビ小説になった雑誌である。
戦後、団塊の世代は、親に逆らいまくってokだった。価値観を覆させられた親たちは、子の教育に苦労したであろう。
私たちの親世代は、高度成長期で、イケイケどんどんであった。
戦中派は、自分に与えられなかった青春を、子供時代を、我が子に託した。
自分が子供の時に、決して手に入る事の無かった、24色のクレヨンを子に与える事が出来た。
甘いお菓子を子に、与える事が出来た。
チクロが話題になった。
さて、歌謡曲と言う新しい文化に耳をそばだてたPTA。
そのPTA世代の歌謡曲と言えば、『リンゴの唄』であり『青い山脈』であった。
私の母が得意そうに裏声で歌ってくれたのは
『明治一代女』⬅︎[聴けます]
母には申し訳ないが、気色悪かった。
小学生の私たちは1時間掛かって通学した。道中、歌謡曲を大合唱した。
♪森トンカツ泉ニンニクかーコンニャクまれ天ぷら静かニンジンねむールンペンブルーブルーシャトー♪
突然、ルンペンが出てくる辺りが納得行かなかった。
ある時、私たち子供を驚かすのに充分な、歌謡曲が発売された。
ヘリウムガスを吸ったかの様な声で、歌われているそれが、『帰って来たヨッパライ』私たちはまたまた通学しながら大合唱した。
♪オラハシンジマッタダー!オラハシンジマッタダー♪
♪テンゴクヨイトコイチドハオイデ サケハウマイシネーチャンハキレイダ わっわっ わっわ〜♪
PTAは目の色を変えた。学校に行ったら、『帰って来たヨッパライ』禁止令が出ていた。
「死んじまった。」って所と「酒は美味いし」「姉ちゃんは綺麗だ。」って所が、PTAの逆鱗に触れた様だ。と、私たちは噂をした。
残念がる間も無く、またまた面白い歌謡曲が出て来た。
『ケメ子の歌(サザエさんにも登場)』⬅︎[見られます]
である。ケメ子と言う奇天烈な名前と、ノリの良いメロディ。私たちは、またまた大合唱しながら通学した。
学校に行ったら『ケメ子の歌』禁止令が出ていた。
私たちは、『好き♡』『嫌い✖️』って繰り返し歌う所がダメなのではないかと噂した。あと、なんだか軟弱な男が明るく恋愛する所も、PTAの逆鱗に触れたのではないかと、賢い子の意見に深く頷いたりした。
しかし、私たちは知っている。
小指の思い出 ⬅︎[聴けます]
を。
小指を噛むとはどう言う事なのか?
昨日の夜の小指が痛いとは何なのか?
何故、あなたが、小指を噛むのか?
それをあんなに、嬉しそうに歌い上げるのは何故なのか?
噛まれたら痛くないのか?
ってかそこ怒るところじゃないのか?
噛まれたら所が痛いから、唇押し当てるのではないのか?
私たちが、この歌を合唱する事は無かった。
私たちだってそれぐらいの分別はついていた。
子供をなめてはいけない。
私たちは、何となく大人になったらきっと解る事だと思っていた。
しかし、大人になっても、小指は、噛む事も噛まれる事もなかった。
当時、影響された大人が、ベッドの中で小指を噛んだりしていたに違いない。これを変態行為と呼ぶのではないだろうか?