　八重野統摩「ペンギンは空を見上げる」。

　中学生の高校受験用テキストの載っている作品です。切り取られた部分が魅力的だったので購入しました。

「地球は青かった。

　　　　　　　　　　　　神は見当たらなかった。」

　ガガーリンの言葉です。後半部分を知らない人も多いかと思います。この本は、この言葉から始まります。

　非常に大人びた男子小学生・ハルはロケットのエンジニアを目指して勉強中です。大人び過ぎてほとんど友達がいません。

　そんなハルのクラスにアメリカからイリスという金髪の女の子が転校してきます。イリスは、転校を繰り返し過ぎて心を閉ざし、性格が悪くなっています。

　当然、クラスメイトからも浮き、イジメの対象となってしまいます。偶然、ハルがイリスを助けた事をきっかけに行動を共にする様になりました。

　宇宙に憧れるハルは、小学生がギリギリ可能な風船ロケットで、宇宙から見た地球を撮影することに挑戦して・・・。

　内容は、ボーイミーツガールな青春小説で、宇宙にチャレンジする少年の成長を描く冒険小説でもあります。

　タイトルを含めて、ミステリー要素も少しあり、終盤の伏線回収が気持ちいい作品でした。

　イジメ、親子問題、経済問題、障害者問題など様々な課題に挑戦する名作だと思います。（坪田譲治文学賞受賞作品）小学生、中高生、保護者、全ての年代におすすめの作品です。

　似たような過去の名作に

　岩本隆雄「星虫」もあります。宇宙を目指す少年たちの成長を描いた青春ファンタジー小説です。以前のアカウントで紹介済みですが、おすすめの作品です。

読書紹介205&206