任天堂「マリオカート裁判とネットで大拡散したクッパ姫」を読み解く 先日発表された「ガイドライン」も話題
ちょうど同じタイミングで任天堂のマリオシリーズに関するニュースが話題となった。
ひとつは、公道を走るマリオカートに関する東京地裁判決(東京地判平成30年9月27日(平成29年(ワ)第6293号)裁判所HP)。もうひとつは、Twitterで広く拡散したクッパ姫だ。
2018年11月29日には任天堂が「ネットワークサービスにおける任天堂の著作物の利用に関するガイドライン」(以下「任天堂ガイドライン」)を公表して、ガイドラインの条件をみたしていれば個人が任天堂のゲーム実況動画やゲーム紹介動画をYouTube、Twitterなどのサイトで共有できることを明らかにしたことで注目を集めている。
このように話題の尽きない任天堂。この記事ではマリオカート判決とクッパ姫の話題をご紹介しよう。
マリオカートのレンタルサービス
六本木界隈で時おり見かけていたマリオなどのコスプレをして公道を走るカート。
任天堂が公道カートとコスチュームを利用者にレンタルして、ガイドの案内により都内を走行するツアーを提供していた株式会社MARIモビリティ開発(提訴時の旧商号は株式会社マリカー。以下「MARIモビリティ」)に対して起こしていた裁判の判決が2018年9月27日にあり、任天堂の請求が一部認められ、任天堂はニュースリリースを公表した。
これに対して、MARIモビリティは、2018年9月30日付けのプレスリリースにより、本件について知的財産高等裁判所に控訴したことを明らかにしており、戦いのゴールはまだ先のようだ。
控訴すると東京地裁の判決は確定しない。判決が確定しないということは、任天堂は強制的にMARIモビリティのサービス提供をやめさせるための強制執行はできないことを意味する。そのため、MARIモビリティは、現在もサービスを継続することはできる状態にある。
任天堂が問題としたのは、MARIモビリティが公道カートのレンタルサービスを提供するにあたって、任天堂のゲームシリーズ「マリオカート」の略称である「マリカー」をその会社名や営業の際に用いていたこと。
また、MARIモビリティが公道カートを顧客にレンタルする際に「マリオ」「ルイージ」「ヨッシー」「クッパ」のキャラクターのコスチュームをレンタルした上、MARIモビリティの従業員がコスチュームを来て先導し、そのコスチュームが写った画像や映像を任天堂の許諾を得ることなく宣伝・営業に利用するなどしていた行為も問題とされた。
なお、キャラクターのコスチューム自体は任天堂のライセンスにより市場で販売している正規品である。
任天堂は、このようなMARIモビリティの行為は不正競争であり、また、著作権侵害だと主張した。
任天堂のキャラクターはお馴染みだろうが、一応紹介しておこう。