昨日は緊張で眠れなくって、智が寝かしてやるって、意識飛ばすまで抱いてくれたから眠れたけど。
朝からお弁当を作って幼稚園に向かった。
場所とりに智のお父さんがシートに座ってた。
「おはよう、父ちゃん。一緒にすんでるかずだよ。」
いきなり紹介されて、慌てる。
「初めまして、二宮です。
智さんとは高校の後輩で、今年同じ病院で働くことになりまして……今一緒に暮らしています。」
「初めまして、智の父です。」
笑顔が智にそっくりだった。
「さと~、にのちゃ~ん。じいじ。」
智のお母さんと手をつないで歩いてる橙也 くんが走って僕に抱きついてきた。
「けいちゃん、にのちゃんだよ。」
「はじめて、二宮です。」
驚いた顔した智のお母さん……。
智が僕の腰に手を回し、
「母ちゃん、一緒にすんでるかず。よろし
くな。」
橙也 くんのかけっこやお遊戯を四人で見た。智のお父さんは僕に対して好印象をもってくれたみたいだけど、智のお母さんはぎこちなく笑ってる。
僕の作ったお弁当は美味しいと食べてくれたけど。
智が橙也 くんと親子競技に参加している間に、
「橙也 から聞いていた、にのちゃんは、素敵な人だと思っていたわ。
ごめんなさいね、なぜ男の人なんだろうとおもっちゃって。にのちゃんは男性が好きなの?」
「戸惑って当然です。僕もなぜ、智さんが好きなんだろう、男性なのにと思いました。高校1年の時からずっと好きでした。
初恋だったので、男性が好きなのか、智さんだったから好きなのかわかりません。」
「にのちゃんが智にはもったいないくらよい人なことはわかったわ。橙也 も凄くなついているし。少し時間をちょうだい。」
「はい、よろしくお願いします。」
「にのちゃ~ん!けいちゃ~ん!」
智と橙也 がスタートラインに並んだ。
障害物を乗り越えて、最後に借り物競争。
引いたメモをみた二人は
「にのちゃんきて!」
「ほら、呼ばれてるわよ。」
と智のお母さんが背中を押してくれた。
一番でゴールして、
「なんてかいてあったの?」
見せられたメモには
"かわいいもの"
だった。
「だって、にのちゃんの笑顔かわいいよ?」
「にのちゃんにメロメロなのね。」
「じゃあ、私は先にかえって夕飯の支度するわね。」
運動会が終わって、智の実家にお邪魔した。お母さんのお手伝いをしながら少しずつ、僕のことを受け入れようとしてくれてるのがうれしかった。
橙也 くんが寝て、あらためて四人で話す。
「智なんかでいいのか?」
「智さんがいいです。僕は男なので智さんのこどもを産むことができません。奥さんと名乗ることもできません。でも、智さんを愛してます。智さんの傍にいることを許して頂けますか?」
「こどもを産めない女性だっているんだ。うちには橙也 がいる。
私達夫婦もいつまで橙也 を見てやれるかわからない。智が橙也 の世話をすることになる。橙也 も二宮さんのこと気に入っているから、こちらからも智と橙也 のこと頼んだよ。」
俺の両親に俺のことを愛してると言った、俺が惚れた奴は凛として美しいんだろう。
なんで、涙が止まらないんだろう。
かずがきゅっと手を握ってくれる。
「智……、僕ばかりが宣言してるよ。智も言って?」
「父ちゃん、母ちゃん、俺はかずのことが高校の3年の時からずっと好きだった。二宮和也が好きなんだ。女じゃないから、妻じゃないから色々あるけど、俺が惚れた一生傍にいてほしいのはかずなんだ。かずと橙也 と家族になりたい。」
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