おはようございます。青木歯科オフィス院長の青木です。
今日は歯科の話で、
以前にもお話した 天然歯を失わないための根管治療 (←お時間あれば見て下さい!!) についてです。
タイトルはそのまま「エムティーエーセメント」と読みます。
まずは、動画から
下の動画は、細菌が体の中へ侵入するのを防ぐのに最も理想とされるMTAセメントによる根管充填の様子です。(動画 6分)
(右下の YouTubeで見る をクリックするとより鮮明に見ることができます)
動画で見ていただいた歯の
治療前のレントゲン写真

自覚症状(痛みや腫れ)はありませんでしたが、根尖病変(病原性物質による根尖孔外の歯周組織の傷害)およびサイナストラクト(歯肉に出現した膿の出口)が確認できたので、治療を開始しました。
MTAセメントによる根管充填後のレントゲン写真

根尖孔まで密に根管充填されているのが確認出来ます。
かぶせ物をはずした後、根管内をマイクロスコープにて見たところ、かなりの汚染が見られました。汚染物質を徹底的に除去、洗浄してこの根管充填が成立します。
この行程の根管治療についてはまた、別の機会でお話ししたいと思います。
今回、特にお話させていただきたい内容は MTAセメントについて です。
このMTAセメント 動画でみていただくとわかりますが、
ペタペタとまさにコンクリートのセメントのように見えますね。
簡単そうに見えますが、口の中に小さいミラーを入れてその鏡像をマイクロスコープで拡大して見ながら処置をしています。結構テクニックが必要なんですよ !!(自分で…笑)
これはMTAの粉末と精製水を混ぜて使用します。
なんと この粉末1g 1万円 !! かなり高価な代物です。
従来、根管充填の材料としてはガッタパーチャポイントと呼ばれる天然ゴムを成分としたものを使用していますし、現在においても最も頻繁に使用されています。
前記の動画 はこのガッタパーチャポイントによる根管充填です。
話を戻して…
これから少し専門的にはなりますが、最後まで読んでいただければ幸いです。
MTAセメントは 1993年アメリカのロマリンダ大学 Mahmoud Torabinejad先生が発明し、
1998年から諸外国で臨床応用が開始されました。
このMTAセメントは従来のガッタパーチャポイントに比べ、多くの点で優れています。
列記すると、
1. ガッタパーチャポイントは歯質接着性はなく、シーラーと呼ばれる接着剤を必要とします。MTAセメントはそれ自体に歯質接着性があり、なおかつ固まる際に1.0%膨張するため、より封鎖性に優れています。
→すなわち、細菌が体の中へ侵入するのを防ぐのに理想的
2. MTAセメントはPH12.5と強アルカリ性です。
細菌は酸性には強いのですが、PH9.5(アルカリ性)でほとんどが死滅します。根管治療にて細菌による汚染を可能な限り洗浄しますが、口の中で無菌状態は不可能なため、MTAセメントによる殺菌作用は非常に有利です。なお、ガッタパーチャポイントには殺菌作用はありません。
3. MTAセメントは生体親和性が良く、硬組織誘導能があります。持続的に水酸化カルシウムを放出する作用があり、これにより吸収された骨や歯を再生させる効果が期待できます。
→根管内における穿孔(穴)、根先端部の破壊等のリペアに使用します。
なお、ガッタパーチャポイントには硬組織誘導能はありません。
4. MTAセメントは親水性のため、完全乾燥状態にするのが非常に難しい根管内では有利です。
5. ガッタパーチャポイントは柔らかい材料に対し、MTAセメントは柔らかい状態から固まり、かなりの強度を持ちます。MTAセメントによる根管充填後、さらにグラスファイバーによる支台築造(土台)を行えば、歯質が脆弱 (弱く、もろい状態)なのに対し、強度が増すため歯根破折のリスクを低減します。
以上のように多くの利点があげられます。
欠点としては強度があるため、根管充填材として利用する場合除去は困難です。
つまり、再根管治療は不可能ということです。
それから前述のように、高価な代物のため保険治療では使用できません。
しかし、このMTAセメントの使用により抜歯を回避出来る可能性が非常に高まりました。
神経のない歯の歯肉がたびたび腫れる、体調が悪くなると痛む
このような症状をお持ちの方、精密根管治療をご希望の方は遠慮なくご相談下さい。















