$寝ても醒めても ~ Nuit et Jour ~-mangetsu.jpg


窓からさす光は満月。
月は野性を目覚めさせるのか、今日の興奮はいつもと違う。

澪が上になってリズミカルな動きが始まる。
いい感じだ。
粘膜は底がないように吸い込んでいく。
心地よい、たゆたい。
次第に締め上げられていく。
リズムがせわしくなって、快感が潮のように脊髄をあがってくる。
おもむろに澪の動きを抑えた。

一瞬の口づけ、そして。。。

「うっ」

爆発と同時に、、、

何が起こったのかわからなかった。
額にしびれが奔った。
なにかがキラッと光った。
顔を伝わるぬるっとした液体。
鉄の匂い。。。

血、、、!?

澪は恍惚とした瞳で自分をみつめている。
月明かりの影。
なんて長い睫毛をしているのだろう

こわがらないで。
生まれ変わっても、あなたとわかるように。
私が男であなたが女であっても。
人でなく、けものであっても。
植物であっても。。。
印をつけたの。
探しだして一緒になれるように。

そうか。
殺されるのかと思ったよ。
至福の行為の最中に死ぬのは美しいが、
君が最期の女であったことが、
僕にとってはもっと至福になっただろうに。

澪は答えず微かに微笑んだ。
そして振り返って月を見た。
ルナティック。。。

ぬめった唇から吐息が漏れる。
額の血を舐めた澪が顰(ひそ)む、
あの極みと同じだ。

再び反応する。

嬉しいわ。
こんなに興奮したのははじめて。
陶酔の表情でつぶやいた。



狂気でいて甘美な一夜があけ、私は再び日常の社会に紛れ込んだ。
額の傷の痛みが甘い思い出を喚起させる。

、、、はっ!!

澪を取り合った職場の男の額に
生々しい傷がある。