あの人と観た映画は三本。
私もあの人も映画が好きだった。
16歳の12月25日金曜日クリスマス。初めてのデートでクリスマス当日に爆発テロが起きる映画を観た。わざわざ25日きっかりにこんな映画をチョイスする奴は普通じゃない。私たち以外の映画館にいたお客さんもきっとそうだ。
彼はキャラメルポップコーンLサイズを4分の3ほどまで食べてもういいと私に譲ってきた。
2時間半にも渡る怒涛のミステリースリラーを見終わって彼が開口一番
「あんま面白くなくね?」
こんな奴には気を付けた方がいい。大体待ち合わせにも遅れてくる口だ。
2回目に観た映画もそう。
大人気アニメシリーズのラスト映画。
劇場には私たちしか居なくて貸切だねって珍しくご機嫌だった。開演ギリギリになって後ろの席に女子高生二人組が入ってくるなり彼女たちはお喋りを始めた。不機嫌そうな右隣の私の彼氏。
何やらスマホで文を打っている。
映画直前までトークにふけるお友達なんて、引きこもり不登校の彼には居ない。
もしやと思って彼のTwitterを覗いておののく。
『後ろの女共うるせぇ。ぶっ○すぞ』
普通の人ならここでえぐい程引いて距離を置くのかもしれない。
しかし彼にゾッコンだった私にそんな考えは無かった。何ならめっちゃ面白いこの人くらいに浅く捉えていた。彼は私が彼のTwitterを見ていることを知っていたから、隠すつもりもないと言うことだ。彼は自分の行動を恥じていない。ダメ彼氏とはそういうものなのだろう。
エンドロールが流れ終わって照明が明るくなった後アニメヲタクの彼は一言
「このアニメこんなにつまんなかったっけ?」
確かに原作を追ってる人にしか分かりずらい展開だったかもしれない。アニメしか見ていない彼には理解されないのだろう。分からないやつは分からなくていい、ガチ勢の私はそう思った。
3つ目の映画は他と比べれば最高に良かった。
何しろ彼から誘ってくれた最初で最後のデートだったのだから。
これも大人気国民的アニメの映画だった。
人気が故に最前列の席しか空いてなかった。
コロナ禍で彼との映画デートはほぼ全て1席開けてのものだった。だから映画中に手を繋ぐなんていう高度テクも出来なかった。
それに反して映画は私も彼も満足のいく素晴らしいストーリーで、彼も
「コ○ン君のシートベルト有能すぎじゃない?」
などメタ発言をかます程楽しそうだった。
確かに脱線した新幹線(?)がそのまま落下しても無事だった乗客のコナン君は主人公属性強めだが、コナン君本体じゃなくてシートベルトに目をつけるとはやるなと思った。