マタイ9:9 田川訳

 

そしてイエスはそこから(出て)、通りがかりに、取税所にマタイという人が座っているのを見た。そしてその人に言う、「私に従いなさい」。そして立って、彼に従って行った。

 

 マタイという人

 

 

 この福音書の著者は、この個所でマルコの「ハルバイの子レヴィ」を「マタイ」に変えただけでなく、「十二弟子」の一人マタイ(マルコ3:18)を「取税人マタイ」にしてしまった(10:3) このようにして、聖書に出てくる何人かの人物がまとめて一人にされ、それが「弟子」とか「使徒」とかにされていく。

 

 おまけに後世の伝説では、この取税人マタイが「マタイ福音書」を書いた、ということにされてしまった。もちろんこれはまったくのこじつけ。

 

 

 解説、凡例、後書きより

 

 

マタイ福音書 著者、著作年代等のことについては一切不明である。この文書そのものの内容から推論できること以外には、何も知られていない。後世の伝説的信仰からすれば、著者は使徒マタイ(マルコ3:18、マタイ10:3)であったとされてしまったが、もちろんその可能性はない。イエスの直弟子の一人(ガリラヤ人)にこういう文書が書けるわけがないし、書くわけでもない。