今日はお弁当を用意しない日だったから
旦那を見送るギリギリまで寝ていられた。

もうクーラーを付けずに夜を過ごすことができる。
窓を開けて寝て夜中少し寒くなって毛布にかぶる。
それがどれだけ幸せなことか。

とはいえ、きっと、また冷房を付ける日が来るのだろうと
心のどっかで期待しないようにしている。


目覚めは、先ほどまで見ていた夢の続きにいるような、
そんな目覚めだった。


今年、高校の友だちから恐らく縁を切られた。
それはあまりにも突然で、理由を探してもなにも思い当たる節がなくて。
最後に会った日、一緒にいた他の友だちにも聞いたが分からず。
なんならその子も私と同じだった。

私と同じ友だちと話をし、無理やり結論を出した。
“リセット”をしたのだろうと。
正直リセットされても不思議とは思わない人ではあった。
けれど、
やっぱり、
どうにもこうにも寂しかった。


そんな縁を切った人が、夢に出てきたのだ。
最後に会った日のように、いつも通りの笑顔だった。


だからこそ、現実では縁を切られているのだと
思い出した時に切なくなった。


とてつもなく、未練がましくて笑えてしまう。


旦那を見送った後に、
紅茶を入れソファーに座る。
リビングの窓から、秋の空気が私のところへ運ばれる。

それはとてもゆっくりとした時間で、
今日が休日なのではないかと錯覚した。

あぁ、だからか。
空気に冷たさを感じるから、秋を感じるから、
こんなに切ないのだろうと。
それなら、腹をくくってとことん切なくなってやろうと。

通勤時、高校生の時に大好きだったインディーズバンドの
私が当時、録音していたライブ音源を聴いた。※

そのバンドは今、編成が変わっている。
惚れたボーカルの人すらいなくなった。


もう会えなくなった、友だち。
もう観ることができない、バンド。


そして夏から秋に変わるこの空気。


私が切なくなるには十分すぎるほどの材料。
全てどうしようもできないこと。
その中で私が唯一できることは、忘れないでいること。


今までの思い出も、
変わってしまった瞬間も、
こんな思いをしたことも、
全て忘れないでいることしかできない。


そうしていれば、もしかしたら、
突然また何か変わる瞬間が来るかもしれない。


その時を心のどっかで期待しながら、またね。











※録音は本人たちに許可を得ています。