Asarum ・寒葵・細辛などの語源


【Asarum】は、コショウ目ウマノスズクサ科カンアオイ属のことをいう。


【Asarum】の語源

※ ギリシャ語の「無」を意味する「a」と、「装飾」を意味する「saroein」の合成語で、花が半ば地下に埋もれるようにして咲く、地味な花が開くこととする説。

※ 欧州産の種類の古い名の語源 a(無)と saron(小枝) の合わされたものとする説。

* 「asaron」(枝を打たない)が語源で、根茎が分岐しないからとの説もある。


【Aristolochiaの語源】

カンアオイとは違いますが、カンアオイ属はウマノスズクサ科に含まれていますが、そのウマノスズクサ属の属名 アリストロキア Aristolochiaの語源は、アリスト aristos(最良の) ロキアlochia(出産)からなり、古くから出産の痛みを和らげる為に、この属の植物が使われていた事によります。


【Heterotropa】の語源

※カンアオイ属に以前迄使われていたHeterotropa・ヘテロトロパはギリシャ語のhetero(異なる)とtropos(向き)との合成で、属の基準となったタイリンアオイの葯が6本は左右、6本は外側に開くので向きが異なる点を特徴に取り上げたものからきたものである。

タイリンアオイは、日本のカンアオイ属中、最初に欧州に紹介されたもので、おそらく シーボルト(Siebold)の導入で1830年頃か。本属のタイプが、カーチス(Curtis) の“ Botanical Magazine”に2度図示された。
http://psieboldii.blog48.fc2.com/blog-entry-184.html

その当時の学名
Heterotropa asaroides Morren,et Decaisne,(1834)

タイリンアオイの種名のasaroides(アサロイーデス)はフタバアオイに似ているという意味である。


【寒葵・カンアオイ】とは

葉が葵(双葉葵)に似ており、寒い冬季でも枯れない常緑多年草であることから寒葵と名づけられた。


【葵】の語源

それは、源氏物語に謡われている葵の上と葵祭の両方によるものと思われ、葵は【あふひ】と書き、詩で【逢う日】にかけて用いられました。

*葵の語源【あふひ】は、我が子に逢いたいと願った玉依比売(たまよりひめ)の神話に由来しているという。
あふひの「あふ」は会う、「ひ」は神の力を表し、神の力に会うことを意味していると伝えられている。



【細辛】とは

ウマノスズクサ科フタバアオイ属・サイシン属のウスバサイシン、ケイリンサイシンの根、及び根茎のことで、薬用に用いる。(名医別録)に「2月、8月に根を採って陰乾する」とある。
(神農本草経)の上品に収載されていて、根が細くて味が極めて辛い事から細辛と名付けられた。


伝統園芸植物【細辛】とは

寒葵は根際に小さな花を咲かせる大変地味な植物ですが、細辛はその中より青軸の個体、更に、草姿・葉形・葉模様などの優れたものが、江戸時代より選抜され受け継がれてきたカンアオイの変異品種で、現在では日本細辛連合会に登録されている園芸品種をさします。
草姿とは全体の形・バランスのことで、葉形には、ハート形・楕円形形・卵形、丸形などがあって、豊かな丸みをおびた円形が最上とされる。そして、葉芸は、葉の模様斑の美しい変化を楽しむもので「柄」とも言う。



【近縁種】サルマ・ヘンリー

Asarum 属には近縁な属として中国産の Saruma 属(サルマ属)があります。 Saruma 属はサルマ・ヘンリー(タカアシサイシン)ただ1種を含む属です。この植物は黄色い、3枚の目立つ花弁のある花を咲かせます。

サルマ・ヘンリーの詳細は下記私のブログをご覧下さい。
https://blogs.yahoo.co.jp/k27de7b8e8nrpsx/13972824.html


【出典、引用先】
Wikipedia

園芸植物大事典[コンパクト版] 小学館 1994年発行など