研究の為に栽培している高知県産ヒメカンアオイの花が咲いていました。


ヒメカンアオイの分布域としては、隔離分布している高知県のヒメカンアオイは、11月頃からの開花で、主に愛知県に多く咲く『サンエンアオイ』と同じような開花期(秋咲き)であることが非常に興味深いものである。


※尚、ヒメカンアオイ(まだ寒い早春2月~3月咲き)の基準標本の産地は、三重県伊賀上野で黒川喬雄氏が採取されたものである。



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ヒメカンアオイとしては、葉の大きさは小さめで腎円形~広卵形である。そして、萼筒は丸みを帯びた筒状で上端が著しく括れる。

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はっきりとした幅の狭い口環がある。

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花柱は外向きに広がり、花柱の付属突起の先端部分は2裂していて、開口部よりつき出ない。※尚、下記の文献『高知県の植物』の記載では、花柱の付属突起の先端部分は2裂しないとあり、個体差があるようである。

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萼筒外面、萼裂片に短毛が見られる。

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開口部と花柱のようす

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内部構造などのようす(以前の撮影)

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萼筒内面の縦横隆起線ですが、細かい網目状で、縦隆起の数は15~21本、横隆起の数は5~7本である。





高知県の植物 第4号(1981年) 『高知県のカンアオイ類』100頁には、「高知県産のヒメカンアオイは花の形態にバリエーションがある」とあり、私の栽培している高知県産ヒメカンアオイにも、上の個体とは違う感じを受ける株の花が咲いています。


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開口部はやや狭く、萼筒の形も括れはなく、すっきりとした筒形である。

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だが、上の個体と同じようにやはり、花柱は外向きに広がり、付属突起の先端部分は2裂している。

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この花も、上の個体の花と同じように、萼筒の外面・萼裂片に短毛が見られる。

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*尚、サンエンアオイの萼筒の外面には短毛はみられません。

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