私が住んでいる愛知県近郊のヒメカンアオイの自生地・特徴について主に説明したいと思います。
ヒメカンアオイはその広い分布域と形態変異の連続性のため、いろいろと明らかにされないことが多く実態は不明なままである。
今日は私のわかる範囲でその実態を解き明かしたいと思います。

☆ 分布域
東は静岡県西北部から愛知県東部にかけて分布をしているのが秋咲きヒメカンアオイです。最近わかったことですが遠く離れた三重県にも秋咲きヒメカンアオイの分布地(度会郡大紀町)が確認できました。
嘘のような話しですが、豊田市・岡崎市を流れる矢作川を境にきれいに秋咲きヒメカンアオイと春咲きヒメカンアオイに別れるのです。
【但し、足助町にある一部地域のみが春咲きである。】矢作川を境に東側は秋咲きヒメカンアオイであり西側は早春に開花します。 そして、もう一つの特徴としては秋咲きヒメカンアオイの中には三重県に自生するスエヒロカンアオイのように筒が浅く開口部の広い個体がよく見かけられます。

☆ 自生地の標高、自然環境
北部地域は500~1200mの山頂付近や渓流沿いの雑木林
中央部地域は100~500mの里山、ゴルフ場周辺の雑木林、広葉樹林下
南部地域は200~500mの山頂部、尾根、峠に多く、低地では湿地周辺
★全地域において、植林された明るい杉林にも自生地はあります。

もう一つ更に不思議な話しですが、矢作川西側の個体群の中には葉裏の紅い、いわゆる裏紅ヒメカンアオイが多く見つかります。このような葉裏の紅い個体は矢作川を境に東側には全く見られません。冬の寒さの為に紅葉したものは勿論、論外である。
この他に愛知県にはスズカカンアオイ・カントウカンアオイ・チタカンアオイ・イワタカンアオイが自生しています。この矢作川を境に西側には直ぐにスズカカンアオイの自生地がよく見かけられます。このスズカカンアオイの自生地近くに春咲きヒメカンアオイが多く見つかります。秋咲きヒメカンアオイの分布域の中において矢作川の西側から豊川とその支流である宇連川のある、愛知県と静岡県境にある自生地のある迄の間スズカカンアオイの空白地帯があり、西は静岡県の日本平周辺までは自生地を確認することができました。

   ☆カントウカンアオイの自生地
渥美半島(山頂付近の雑木林や池周辺)と知多半島の南部(杉林内、里山の雑木林)   
    ☆ チタカンアオイの自生地
知多半島の一部地域(雑木林)のみに孤立して自生しています。
    ☆イワタカンアオイの自生地
愛知県豊橋市の一部地域(雑木林)にヒメカンアオイと混在しています。

     ★ミヤコアオイ
愛知県北部の一部地域((杉林内)と岐阜県中津川市の一部地域(杉林内)にて確認しましたが、よくわからないのが現状である。

☆他の地域にも秋咲きヒメカンアオイ、裏紅ヒメカンアオイがあるようでしたらコメント欄にて教えて下さい。