前回、23日に「家での事故の可能性」について記事を書きました。
その時には、危険なものを羅列して終わったのですが、いろいろ考えているうちに「インコの安全」を考えるならもっと踏み込んだ記事が必要なのではないかと思いました。
とはいえ、ここではあまり具体的過ぎる事例はあげません。
もしかしたら、その事故と同じようなことを経験されている方がみて、過去の事故を思い出し辛い思いをされるかもしれないからです。
それでも記事にするのは、なるべく「防げる事故は防ぎたい」ということと、事故を起こしてしまうと飼い主さんが誰よりも傷つくからです。
あくまでも、起こりうる事例としてのみの情報と受け止めてください。
「鉛中毒」
鉛というと金属の一種ですが、本当は危険なものではないんです。
食品にもある程度含まれていて、体には必要な元素だそうです。
では、なぜ「中毒」になるのか・・・簡単なことです。
体に必要な量を大幅に超えて摂取してしまうからです。
特にインコなどの鳥の場合、体は人間よりもはるかに小さいです。
なので、当然中毒になる可能性のある量も人間よりも微量です。
鉛って、意外に身近なところにもたくさんあって、インコで要注意になりやすいのは「アクセサリー」や「ケージ」、「金属のおもちゃ」に使われるメッキです。
これが表記されていなくても使用されているケースもあって、メッキがはがれたところを口にしてしまうこともあります。ケージはメッキ加工されていないステンレス製が安全です。
また、カーテンの重りや、ガラス瓶飲料のふたの金属部分などにも鉛や亜鉛、錫など危険な金属が使用されています。後は、鉛筆などにも注意してください。
この鉛中毒は意外に飼い鳥さんでも多い事例で、好奇心旺盛な子には要注意です。(再発率も高いです)
中毒になっても、すぐに症状が出るわけではなく、接触後数時間以上経過して発症することも少なくありません。そして、発症してしまうと進行は急激で、早い場合は48時間以内に死んでしまうケースもあります。
一方、飼い主の迅速な判断で病院に連れて行った場合は、病院で適切な処置を受け回復するケースもあります。(症状が出てから48時間以内に適切な治療を受けることができれば、かなりの確率で救命が可能です。)
「やけど」
セキセイインコなどは水に飛び込む習性があり、場合によっては熱湯や加熱した油の中に誤って飛び込んでしまうこともあります。
この場合、熱い液体は羽毛にしみこみ、体を熱し続けるために重症化しやすい傾向があるようです。
保温器具なども、直接接触できるようにしている場合、低温やけどの原因になることもあります。
軽度の場合は数日で治りますが、中等度以上となると治療に時間もかかり、重症の場合は死に至ることもあります。
調理中のキッチンには、飼い鳥を連れて行かないでください。ワンルームの場合は、ケージにいれてから調理してください。
低温やけどを防ぐために、直接保温器具が体に触れないように工夫してください。
「テフロン加工の調理器具による事故」
テフロン加工などで焦げ付き防止の加工をしている調理器具は、その表面にフッ素化炭素樹脂を使用しています。
これは、表面温度が200℃以上(280℃以上という話もあります)になると、PTFE(ポリテトラフルオロエチレン)が分解され、有毒なガスが発生します。
このガスを吸入してしまうと、ものの数分で発症し、わずか数十分で死に至ります。
テフロン加工の調理器具をご使用の場合には、十分な換気をし、調理中・調理直後には鳥さんをキッチンに入れないでください。ワンルームの場合は、使用しない方がいいと思います。
「タバコ」
これは、人間と同じニコチン中毒を引き起こします。喫煙者の皮膚にニコチン残留物が付着していると、それが鳥さんに触れ、皮膚炎を起こし毛引きなどの原因になることもあります。
喫煙をする方は、必ず手をよく洗ってから鳥さんと接触してください。
「アスファルト類」
これは自分で起こす事故というより、外部に原因があります。
家の前で道路工事が行われていたりして、アスファルト類が加熱されることで、硫化水素、一酸化炭素など様々な有害なものが発生します。
それを吸入することで、呼吸器症状を起こして突然死してしまうのです。
道路工事が近くで行われる場合は、安全なところに避難させる方がいいですが、できない時は窓を開けたり外に出したりは禁物です。
「塩化ナトリウム」
通常ではまず過剰症にはなりえません。しかし、発情期にカルシウムを摂取しようと塩土を過食したり、人間の食品を与えることで起こります。
症状は多飲多尿を招き、場合によってはけいれんから死亡に至ることもあります。
塩土を与える人は、ケージにいれっぱなしはやめた方がいいです。
「サトイモ科の観葉植物」
観葉植物として一般的な、ポトスなどの植物には、不溶性のシュウ酸カルシウム結晶を多量に含みます。
これを食べることで、口腔内に痛みを与え、食欲・元気が低下します。場合によっては呼吸困難になることもあります。
サトイモ科の観葉植物以外にも、若いパイナップルなどにも多量のシュウ酸カルシウム結晶などが含まれるので注意が必要です。
その他、クレマチスやポインセチア、シャクナゲなども危険な有毒植物になります。
「アボカド」
アボカドは、果実を含むすべての部分に「ペルシン」という物質が含まれていて、これは鳥に対して毒性を持ちます。
アボカドは鳥さんが好む傾向がありますが、これを摂取すると24時間以内に症状が現れ、短時間で死亡する例が多いです。
鳥さんのいるところではアボカドの調理はしてはいけません。調理したまな板や包丁はよく洗いましょう。
「感電」
コードなどをかじることで起こります。心停止などで即死することもあります。
助かっても後遺症が残ったり多臓器障害が起こり、後日に死に至ることもあります。
コードがかじられないように注意してください。
毎日の鳥さんの観察と、放鳥時に目を離さないことが事故防止と早期発見につながります。
できる限り体重測定は定期的にしてください。
鳥さんは代謝が早いので、体調を崩すと体重が落ちてきます。調子がよくなると体重も戻る傾向があるので、普段の体重を把握しておくのは大切なことです。
糞便のチェックもしてください。鉛中毒だと緑色の便になります。
真っ黒い便だと絶食便の可能性があります。
そのほかのチェック項目
①膨羽をしていないか・・・寒い時や病気の時になります
②開口、開翼していないか・・・暑い時に行います
③元気・・・寝てばかりいると不調のしるしです
④食欲・・・一見食べているようでもふりであることもあります
⑤あくび・・・眠いだけの時もありますが、繰り返されると誤飲の可能性もあります
⑥嘔吐・・・まき散らすように吐くのは嘔吐です(一か所に吐き出すのは発情の可能性があります)
⑦くしゃみ・咳・・・一日に数回程度のくしゃみは大丈夫です
⑧呼吸・・・呼吸音が正常か
⑨神経症状・・・けいれんや斜頸(首が傾く)
⑩脚の温度・・・鳥さんは人間よりも体温が高いです。皮膚に足が触れた時に、いつも以上に冷たかったら不調の兆しかもしれません。
他にも、いろんな事故が想定されます。
一番多いのはやはり、ドアで挟んでしまったり、そこにいることに気づかず踏みつける(もしくは下敷きにしてしまう)事故です。放鳥時に鳥さんを見失うのは危険です。
特に、家にいるときにはずっと放鳥しているよって方は気を付けてくださいね。
今回は、注意喚起を促すためにあえて記事にしました。
それでも、この記事を読まれて、愛鳥の事故を思い出された飼い主様に、ご不快な思いをさせてしまったかもしれません。
どうぞ、ご理解の上ご容赦いただきますようお願いします<(_ _)>
愛鳥と飼い主さんの幸せな日々のために
「あおいちゃんを探せ」 上級編は11/28に行います。
昨日の迷子の記事に、都道府県別の警察の遺失物の公式ページを追加しました。