第38話 手紙。6

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「っく・・・っっく・・・。」



誰もいない保健室で嗚咽を漏らしている私。



きっと、誰かが見たら不気味だと思う。





でも、私にはそんなのを気にしている余裕なんてなかった。





胃は締め付けられるように苦しくて、痛くて


呼吸すらもまともに出来そうになかった。







先生・・・。






先生に会いたい。





先生に笑いかけて欲しい。







先生に触れられたい。









自分の中に身勝手な欲求が湧き上がってくる。







自分から「かまうな」って言い出したのに

もう後悔してる。





朝、いつもの30分あまりの時間がたった1度もてなかっただけで。








私って・・・なんてわがままなんだろう・・・・。






自己嫌悪に陥りっぱなしだった。









涙はとめどなく流れるものの、呼吸は少しずつ落ち着いて

少しずつ回りに意識を向けることができるようになってきた。







・・・。






誰か、保健室に近づいてくる。








私は急いでベッドのカーテンを閉めると

息を潜めてジッとこらえる事にした。






「・・いやあ、わざわざすみません。お手数をおかけしてしまって」



「何言ってるんですか、ダメですよ。先生と言えども無理をしては」


廊下で話しながらこちらに向かってきているようだった。



「ははは・・情けない限りで・・・」



話し声がどんどん近づいてくる。





この声は・・・・・・








ガラリ。とドアが開くと、保健医の幸田先生の声が聞こえた。


「とりあえず胃薬くらいは飲んでおいてくださいね。」



「ありがとうございます。」



「もう、森嶋先生、いくら若いといっても無理は禁物ですよ。

職員室で真っ青な顔してらっしゃるんだから、心配してしまいましたよ」



「どうも、ご心配をおかけしました。」




やっぱり・・・森嶋先生。。。。






もしかして、私のせいで具合悪くなってしまったの??




ごめんなさい。




ごめんなさい。




ごめんなさい。





ごめ・・な・・さ・・・


「うっ・・・っ・・・・。」


急激に走った痛みのせいで思わず声が漏れてしまった。




「誰かいるの?」


幸田先生がベッドのカーテンを開けた。



「あらっ!菅原さん!!大丈夫???」



「っ・・・。はい・・。」


先生・・・。



幸田先生の後ろから森嶋先生がこちらを見てるのがわかった。



こんなにも苦しいのに、先生の顔が見られただけで、

身体にじんわりと温かいものが流れていく感じがした。







自分勝手でもいい。。。





先生を好きでいたい。。。







私の感情は浮いたり沈んだり・・わずかな気温差で上下する

ガリレオ温度計みたいだった。







どうしようかと思ったけど、放課後の部活には

やっぱり顔を出す事にした。



















その選択が正しかったのか、間違っていたのか


私にもわからないけれど








何かが大きく変わっていくきっかけになったって事だけは

確かなんだよね。










絶対に忘れない。







あの夕暮れの美術室から始まった夢の時間を。