小さい頃から、夢を見るのが好きだった

目を覚ました瞬間忘れないように夢日記を付けるのは、今なお続ける習慣でもある。


それと、

ファンタジーやアクション、ホラー映画も好きだ


都市伝説とか妖怪とか、SCPとかも好き。



俺の好きな物は、

いつだって非現実的なものばかり



夢ひとつにしても、

現実的な内容や現実で関わりがある人が出てくると気が滅入る


悪い夢なら言わずもがなだし、

いい夢なら現実とのギャップに嫌気がさすし



逆に非現実的な夢なら、悪夢ですら大歓迎だ


目が覚めた時に動悸と不安が止まらないと

己の中に蓄えられたホラー展開のクオリティの高さに寧ろテンションが上がる(



でも内容に関係なく、夢を見たあとはいつも

朝日が昇ってまた現実が始まることに憂鬱になる



独りも好きだ


独りであることは孤独であることじゃない

誰にも気を使わず邪魔されず、自分による自分のための自分だけの世界に入り込めるから


おもちゃ箱を開くみたいに

独りになれば俺の頭の中には俺の好きな物が溢れかえってくる


妄想の中で、俺はなんにでもなれた

最強のスーパーサイヤ人にも、仮面ライダーにも。

最近は海賊王にもなれそうな勢いだ


妄想の中の登場人物達は、誰も俺を嫌わない

自分の思うままに生きたって、仲間たちはいつだって肯定してくれる


深夜、仕事から解放されてベッドに入ってから

色んな世界の主人公になっているうちに寝落ちていくのが堪らなく心地がいい



でも目が覚めたら

重たい溜息と、脳内のおもちゃ箱をベッドに残して


自分の一挙手一投足、何が周りを不快にさせるか


そんな模範解答も、尽きることもない不毛な問いに支配されながらビクビクと1日を過ごすんだ



小さい頃からずっと、

ホグワーツからの入学許可証を梟が運んでくるのを待ってた

自分にもいつかサイヤ人の血が目覚めることを楽しみにしてた

地球滅亡の予言や、巨人の襲来に怯えて布団に潜り込んでた



ここまで書いといて、だから何?


いやぁ、何も無いんだけどさ



数多の想像や不安より

現実の方が不安でいっぱいだなんて


なんてリアルってのは恐ろしいんだろう



プロレスってのは、ファンの頃夢見たものよりずっと現実だった

だけど時折、想像以上の夢を見せてくれるから辞められない


誰かの生きがいになるなんて

そんな人生を送れるなんて奇跡だろ



まるで現実が悪いように吐き散らかしてるが

アレが悪いこれが合わないといいながら

結局馴染めてないのは俺なのであって


だから俺は性格が悪いんだ


だけど俺はプロレスでお前に夢を与えたいし

プロレスに夢を見ていたい

いつかの妄想を、リングの上で現実にしてみたい


だから俺は諦めが悪いんだ



俺はきっと幾つになっても

こうやって上手くいかない現実を、

ひとり細々と妄想で補って繕って己を保つんだと思う


俺は大人だけど

ただ歳をくっただけのガキでもあるから



ただ、生きたい

ファンタジーの中の、夢と希望と勇気に溢れた主人公達みたいに。