経営コラム 「持続的な利益と成長を生み出す着眼点」

経営コラム 「持続的な利益と成長を生み出す着眼点」

本コラムでは、中小企業の「人と組織と財務」に関する内容を中心に、情報や私見などを、気楽にマジメにお伝えしています。

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 現在、ある会社の新規事業開発プロジェクトの推進支援をさせて頂いています。

 

 新規事業のアイディアは、かなり前に社長が起案し、社内で取り組みを進めるよう指示してきたようですが、なかなか事業化に至らず、時間だけ過ぎてしまったとのことでした。

 

 新商品のコンセプトや特徴、販売戦略をお聞きしたところ、おもしろい事業に発展しそうな予感。

 マーケットの需要や競争環境を考えると、一刻も早く世の中に広めたい。

 

 さっそく、ゴールの状態・タイムリミット・プロジェクトメンバーを決めて頂き、新規事業開発プロジェクトをスタートさせました。

 

 それから4ヶ月間、毎週プロジェクト会議を重ね、課題特定→取組行動→成果確認→課題特定…のサイクルを、メンバーと一緒に廻し続けてきました。

 

 検討事項としては、商品の仕様、品質確保、協力会社の開拓、販売戦略、価格設定、販促ツール整備、顧客管理の仕組み化など、多岐にわたるものでしたが、メンバーの不断の努力により、4ヶ月で販売開始の準備が整うまでこぎつけました。

 

 既に大口の引き合いもあり、儲かる事業に育っていく兆しが見えています。

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 中小企業が抱える課題として、新規事業開発、企業理念の策定・浸透、組織運営方針の策定・徹底、目標達成の仕組み化、業務改革の促進、財務体質の強化、人材教育などが、よく挙げられます。 

 

 特に、人材確保が困難な環境の中で、ヒト・モノ・カネ・情報などのリソースが限られている中小企業においては、このような課題解決の取り組みが、社内でなかなか進まないという現状があります。

 

 社内で課題解決を進めるには、プロジェクトとして取り組むほかありません。

 定型業務以外の取り組みは、すべてプロジェクトになります。

 専任者をおくことはできませんから、プロジェクトメンバーは当然、兼務となります。

 

 そのような条件のもとで、課題解決プロジェクトを成功に導く条件はいろいろありますが、私が考えるポイントは以下の5点になります。

 

 ①プロジェクトに対するトップの明確な意思の社内伝達(GTR…ゴール、タイム、リソース)

 ②プロジェクトメンバーの負荷に対する社内支援(既存業務の協力体制)

 ③プロジェクト進捗状況の社内へのフィードバック(議事録の公開など)

 ④プロジェクト全体のマネジメント(ヌケモレ防止、スケジュール管理、成果の質の確認、議事録確認など)

 ⑤プロジェクト会議のファシリテーション(アイディアの発散・収束・合意形成、ロジカルコミュニケーションなど)

 

 さらに、プロジェクトの目的やゴールがワクワクするものかどうかで、推進力は大きく変わってきます。

 

 なぜ、このプロジェクトに全社をあげて取り組まなければならないのか、このプロジェクトが成功した暁には、会社の業績やみんなの仕事がどう良くなるのかなど、中小企業においては社長の熱意・発信力・巻き込み力が一番大事と言えるかもしれません。 

 

 人がいない、能力が足りない、忙しくてできないなどの理由で、課題が見えているのにその解決が進まなくては、環境変化のスピードに負けて、いずれジリ貧になり、生き残りすら危うくなることは明白です。

 

 やると決めれば、やり方は必ずあります。

 

 自社の持続的な収益確保と社員の更なる成長のために、ぜひ課題解決プロジェクトに取り組んでいただくことを願っています。