☆本気にす・る・な・よ!(。+・`ω・´)キラーン
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予想はしていたが、大阪の会場で差し入れしてもらったファンレターやプレセントは、半端ではなかった。
ファンイベントはやったことがあったが、復帰後は初の大阪公演である。
さすがにダーイシと二人で持って帰るには無理な量となってしまい、かと言って宅急便で送るのも気が引ける。
あとで事務局の方に取りに来てくれたら良いから、こちらで預かって東京に持って帰るよ。
舞台スタッフのその言葉に甘えて、直樹は段ボール箱に詰まった贈り物をそのまま預かってもらった。
こうゆうときに、スタッフが充実している大所帯は助かる。
東京に帰って人心地ついてから事務局に連絡をして、都合の良い日に受け取りに行く旨を伝えた。
外伝などへの出演でこれからのこのチームにお世話になる人も演者も多くいるだろうが、すでに死んでいる自分はこれが最後になるのかも、と少し感慨にふけりながら車を走らせる。
初めてこの事務局に呼ばれたときは、まさかこんな大きな役をもらえるとは思ってなかった。
今まで頑張ってきたものが、確かに一つの形になって実を結んだその成果だと言える舞台だった。
そして。
また次の結果を残すために新しく歩きはじめなくてはいけないのだと、再び自分を奮い立たせていた。
「おお、ラップ。もう体調は良いのかい?」
「今となると髪が黒い方が違和感だね~~」
事務局に入ると、馴染みとなったスタッフの人たちが気安く声をかけてくれる。
それもまた、直樹には嬉しい出来事だった。
「丁度いいや、君の良く知っている人が来てるよ」
こっちこっちと手招きされて、直樹は奥の部屋へ通された。
共演した人でも来ているのかと思ったが、そうではなかった。
華奢な背中の後ろ姿。
そうだ最初は、彼があの舞台に立っているのを半分尊敬の想いで、半分羨ましく眺めていたんだっけ。
「サッキー!ひっさしぶり~~♪」
急に声をかけられて、驚いた崎本が後ろを振り返る。
本当に急な反応に弱くて、つい、きょとんとした表情を晒してしまう。
板の上ではあんなに堂々としてるのに。
「この前は観に来てくれてありがとうね^^
バタバタしちゃってあまり話が出来なかったけど、久しぶりに会えてうれしかったな~~」
そう言いながら彼の肩に置こうとした手が、すると不本意に空振りして落ちてきた。
何で?と意味が分からずに顔を顰めたのは一瞬で、次の瞬間には別の理由で顔を強張らせてしまった。
「・・・じゅるいいいい~~~~~!!!」
冗談はよしこさん☆(←ふるっ!)
大手事務局だということもお構いなしにミニマム~にトランスフォームした大海が、リンゴみたいなほっぺたを膨らましてポカポカと直樹の太もも(チビサッキーが手の届く精一杯の高さ)を叩いているのだ。
ちっさいサッキーは可愛い、可愛いよ。でも、ここでこれは無しなんじゃない???
「さ、サッキー、何を怒っているのかな~~(^^;」
案の定、目が点になっているスタッフたちの痛い視線に突き刺されながら、直樹は相当ご立腹な大海を抱き上げて優しく問いかけた。
むー、と不機嫌に付き出した口も可愛いが、これで無条件にノックアウトされるのは剛士さんまでである。
「らって~~、ぱぁぱのらいぶ、ひとりでいったれしょーーー!
ひろみもいきらかっらのにぃ~~~~」
「へ?あ、大阪の剛にぃのコンサ?今からだったらサッキーも東京のに間に合うよ!(^▽^;)」
「そのひ、おちごと~~~!!」
あまりにその事実が悔しかったのか、またもポカスカと直樹のことを叩きはじめる。
子供の力だし、さらに言うなら本物の子供のように本気で叩いてこないので大して痛くないが、この状況を収める方法を考えなくてはいけない頭のほうが痛い☆
もしかして、サッキーが僕の舞台を観に来たとき、逆に剛にぃに羨ましがられたのかな?
面倒な人たちだな~~と思いつつ、取り合えず一番手っ取り早い方法を提案することにした。
「分かった、それじゃ、今度みんなで剛にぃのおうちに遊びに行こう!
剛にぃんちのスタジオでたくさん歌ってもらって、その後地元の美味しいお店に連れて行ってもらおうよ。
剛にぃもサッキーが遊びに来てくれたら、きっと喜ぶから♪」
ね(*^-^*)、とほほ笑むと、今までぐずっていた大海の顔がパッと明るくなった。
「たけぱぱのおうち?いくの?」
「そう。サッキーは、剛にぃのおうち、行ってみたくない?」
「いく~~~
」
きゅぅん、と首に抱きついてくるのは、本当に可愛い。
このまま連れて帰りたいのはいつものことだが、そんなことをしたら某鬼監督に怒られてしまう(^^;
「そいじゃ僕から剛にぃには連絡入れておくから、大まかに決まったらサッキーのスケジュールと合わせ・・・ってぇぇ?」
ずしりと腕と肩にかかる重さに抵抗して必死に踏ん張る。
いや待て、確かに早いところ大人に戻って欲しい所だが、この状況で戻るか~~?
次の約束をしてもらって気が済んだのか、大海は直樹に抱えられたままで大人サイズに戻ってしまった。
結果、華奢とはいえ大の大人をお姫様抱っこする羽目なってしまったのである。
突然のことで顔を真っ赤に(恥ずかしくて、ではなく、急に力技を発動したせいで、である)させて大海を抱きかかえる直樹に対し、元凶の姫はにっこりと余裕かました笑みをみせた。
もしや嵌められた?と直樹が疑うくらい爽快に。
「お約束しましたからね、野久保さん
しっかりつるのさんを説得してくださいね。」
「ってか、降りろよ!!」
もうちょっといいじゃな~い、と大海が吹いたかどうかは別として。
大海のこの特異体質を知らなかった事務局のスタッフが、眼の前で起こった事態が受け入れられず目と耳を塞いで『これは夢だ幻だ、働きすぎたのがいけないんだ』と呪文のように唱えていたことが問題だ。
果たして彼らは、再びこのシリーズの舞台にお呼びがかかるのだろうか?
乞うご期待☆( ´艸`)