゚・*:.。..。.:*・゚ これは、ちょっと未来の、そんで、少し不思議、なお話。゚・*:.。..。.:*・゚
遠路はるばるサッキーが来てくれた。
忙しくて遠征できない剛にぃの代理で、惑星超えてボクのところまで来てくれたのだ。
「悪かったね、サッキーにまで面倒かけて(^^;」
「いえいえ、野久保さんのお願いですから」
にっこり笑ったサッキーはとても綺麗で、いじめ可愛がりたくなる魅力が満載である。
そこらへんが剛にぃも気に入ったんだろうけど。
見た目完璧なイケメンくんなサッキーだけど、実は人間じゃない。
セミオーダータイプではあるが、一般に販売されてる家庭用ロボットだ。
この手のロボットは大抵が家事とか育児とかの能力が特化しているんだけど、サッキーはデータ処理なんかの職業用に改良されてる。
ま、家事も育児も無難にこなす剛にぃが欲しがるロボットなら、そっちのほうが正解だろう。
(その要素に、『揄い甲斐がある』ってのも含まれていたように思えるのだけど・・・)
今時、大概の家庭にはこうした人型ロボットが居る。
用途は、やはり家事代行が多いが、最近は疑似家族としての種類もあるそうだ。
ボクのところにも一体居るんだけど、これがサッキーの遠征の発端なのだ。
「さっそくなんですけど、『彼』を見せていただけませんか?」
「ああ、こっちに寝かせてある」
ベッド、というか、カプセル型の充電装置に寝かしたままのボク所有のロボット。
コレが故障したのか起動しなくなってしまったのでサッキーを呼んだのだ。
サッキーは彼に近づいて、何カ所かチェックをしてくれてる。
「一度ちゃんと開けてみないとはっきりとは言えないのですが・・・。
電源のショートやコードの切断、みたいな単純な問題じゃないみたいですね」
「ボクもこっちの修理工場とかに持ち込んでみたんだけど、そこの人も同じことを言ってたよ。
ただこれ、剛にぃがめっちゃカスタマしちゃったから、他の人がいじるのは難しいって・・・」
「でしょうね(o^冖^o;)アノヒトナラヤリカネナイ
なんでもオンリーワンが好きな人ですから、そうとう手を入れてると思いますよ」
剛にぃの性格を、初期プログラム以上に『学習』して知っているサッキーは、的確に困ったときの苦笑いをその綺麗な顔に再現して見せた。
人間と一緒で、面倒なことを頼まれるとデータを処理するのに負担がかかって、その状況になるとこうして困った顔を浮かべるらしい。
未来の困難な状況ってのも予測して、事前にこうゆう顔をするようになるってこともあるんだって。
「僕の容量も規定より小さく組み込まれてるんですよ。
逆をする人はいても、性能を落とすカスタマイズをする人は普通居ないですよね?」
それについては、話を聞いたことがある。
なんでもスイスイ出来るんじゃなくて、どうやったら出来るようになるか工夫することを覚えて欲しいのだと。
一つの手立てでダメだったら次の方法を工夫するシステムを構築したかったらしい。
「でもサッキーは、剛にぃの要望にちゃんと応えてると思うけどな」
そう言ってあげると、サッキーは嬉しそうに恥ずかしそうにはにかんだ。
褒められるということが喜ばしいことだと、ちゃんと分かっている。
そんでサッキーは、何よりも剛にぃの役に立っていることが嬉しいのだ。
ボクのロボットもこれくらい従順だったらなぁ、と寝転ぶ彼に目を落としてしまった。
「とりあえず、剛士さんも夜になったら時間が取れますので、そのときに改めて『彼』の内部を開けていろいろ調べてみたいと思います。
僕が見たものが剛士さんのPCへ転送されるようになってますから」
「ありがとう、本当に助かるよ。
サッキーも今のうちに身体休めて、メンテとかしておいてね」
はい、とにっこりと良いお返事。
そして自分の荷物から器具を取り出して自分に接続してチャックを始める。
うんうん、これが普通のロボットなんだよな。
うちの子が、少し変わってんだよ・・・。
続く