あなたを想い続けて私は猫になった第20章後半
あのトラ猫さん。私を見て不思議そうな顔をした,
あ、人間の姿が見えたのかな。人間の匂いがしたかな。
まだ完全に猫になってないんだね
イヤイヤ!ここで立ち止まっていられない。暗くなっちゃう
美鈴は和磨のアパートに向かう。
一度しか行ったことのない場所へ
住所は首にかけたポシェットに入ってる。
わからなくなったら聞けばいい。…って今の姿じゃ聞けないよね。あはっ
またタイミングよく人間の姿になってくれたらいいんだけど。
猫と話せるとか…ね
歩き出してすぐに
いい匂いがしてきた。
うーん。
ラーメンの匂いだ
お腹空いた…
何かないかな
美鈴は店の裏側に入った。
ゴミバケツを覗く
ガサゴソ…
あ、残飯みっけ!
しかし悲しいなぁ。
残飯をあさるようになるなんて
でも生きなくちゃ
和磨に会うまでは生きていたい。
食べなくちゃ
美鈴は泣きながら食べた。
「おい!」
美鈴の背後で声がした
まずい!叱られる!
慌ててゴミバケツごと倒れてしまった
「バーカ!ガハハハ」
野太い声で笑う
恐る恐る顔を上げると
あ!
笑い声の主は
さっきぶつかったトラ猫だった
次回に続く