あなたを想い続けて私は猫になった

第20章 虚しさ


人混みの中を15分ほど歩いてただろうか

急に体の力が抜けていくように感じる

(あー。ダメだ!ダメだ!モアンに会ったら虚しさが大波のように襲ってきた)

私は誰?

猫にも人間にもなれない?

このまま1人ぼっちで死んじゃうのかな…

ドシン!

何かに激突した!

痛っー

ご、ごめんなさい。

美鈴は頭を上げた

あ…

ぶつかった相手は

美鈴より一回り大きめなトラ猫だ。

トラ猫は美鈴を睨むように視線を向けた。

そしてすぐに不思議そうな面持ちに変わる

寂しい目をした。ような気がした

ふん!

トラ猫は前に向き直り美鈴の前から去っていく。

美鈴は不思議な感覚を覚えて振り返ったが

トラ猫は人混みの中に消えていた


第20章虚しさ後半へ続く