闇の中
美鈴は闇に包まれた
ドクンドクンと体中の血液が
抜けてしまいそうな恐怖を覚えた
また戻るよね…
戻らないかも…
窓に映る姿を見ながら涙が溢れてきた
時折り薄れゆく意識
気がつくと朝になっていた
カーテンから射し込む光が
眩しくて手で顔を覆った
手は…
黒いままだ
ゆっくり立ち上がってみる
立ち上がれた
テレビをつけた
天気予報だ
今日も穏やか一日になるでしょう
予報士の女性の声は幸せそうだ。
人間の言葉はまだわかるみたい
声は?
あーー!
出る。
まだ大丈夫みたい
ソファに座り
しばらくぼーっとテレビの画面を見ていた
グー…お腹が鳴った
こんな時でもお腹は減るんだな
冷蔵庫を開けた
あれ?
食材がぎっしり入っている
いつ買ってきた?
牛乳と同じく全く記憶がない
とりあえず食糧はしばらく大丈夫だ
猫の姿で買い物には行けないものね
でもこの先食材無くなった時どうしよう
猫の餌を買ってたほうが良かったかな
美鈴はそれから数日経っても人間には戻らなかった
しかし人間の言葉もわかるし
言葉も発せられている
これだったらもう暫くなんとかなりそう
後半に続く
