あなたを追って…(前半)

アモンのメロディが優しく包みこんでくれるようで
朝から癒された。
それから間もなく真子は午後から用事があるからと帰った。
誰も居なくなった部屋の静けさは苦手だ。

さて…掃除機かけようかな

全室の窓を開けた。少し体がピリッとする冷えを感じたが気持ちが良い。
アモンのメロディを口ずさみながら掃除機をかけた。
寝室に入る
昨夜のことを思い出して
チラッと猫の置き物を見る
猫は今は天井を向いて…いるわけないか?
美鈴は笑いながら掃除機をかけた
何故か笑いが止まらない。涙も一緒に出てきた

なんだ?この感覚…
でも体が軽い。掃除もテキパキと完了

気がつけばもう昼だ
朝がゆっくりだったからだな
お腹空いてないし
んー。なんか部屋にいるのももったいない

美鈴は外に出てみることにした

マンションを出るとお日様が眩し過ぎて
一瞬、あたりが見えなくなった

ずっと室内に閉じこもっていたからかな

数秒であたりが見えてきた
うん。よし!大丈夫。
近くの公園まで行ってみようか
遠足に行く子供のような気分で歩いた

公園に着くと子供連れのママさんたちが見えた
その中の1人が美鈴に気づいて会釈をした
あ。同じマンションの人かな

美鈴も会釈をした

頭を上げたとき

え?

か、和磨⁈

会釈してくれたママさんの後ろに和磨が?
美鈴は目を擦ってもう一度見た
和磨はいなかった。いるわけがない

あ、いた…

黒猫…

黒猫が和磨に見えたの?
まだ和磨を忘れられなくて見えちゃうのかな
そういえば弘也も何処へ行ったのだろう

頭がぐちゃぐちゃになってきた

帰ろう

その時足元に何かが触れた
えっ。下を見ると和磨に見えた黒猫が
美鈴の足元に来ていた

黒猫は美鈴を見上げた

そして時間が止まった

美鈴の目から涙が溢れた


後半に続く