※この記事の内容は2024年夏に訪問した際の内容です。
ある晴れた日の夕方、私は川沿いの道を走っていた。もちろん、目的地もなく走っているという訳ではない。遡ること二週間前、日課のgooglemap観察をしていると、私の好みにドンピシャな鳥居の写真が目に入った。劣化した朱色の鳥居に、深い緑の草がまとわりついているその姿は、私を旅に駆り出させるのに十分すぎる美しさだった。
これまたgooglemapに導かれるまま、大きな公園の前の細い道に侵入する。そして道に入ってしばらくして気づく。
ここ私有地やんけ!
皆さんはgooglemapの案内を鵜呑みにはしないようにしましょう。私有地と知らずに入ってしまった場合は、過去の判例から基本的に住居侵入罪には該当しませんが、恐らく管理人の方に見つかるとバチボコに怒られるので気を付けましょう。
気を取り直して、別ルートから目的地にアプローチする。「もうそろそろ見えてくるはずだ」期待に胸を膨らませながら周囲を見渡していると、あからさまに開けた畦道が目に入った。
少し手前の広い道に車を停車させ、例の畦道に目をやる。
ビンゴだ
googlemapで見た写真よりは荒廃感が物足りない印象だが、それでもひしひしと伝わってくる廃墟オーラ。廃神社が性癖の私は思わず身を震わせました。
一歩、一歩と草を踏みしめるごとに高まる胸の鼓動は、これほど美しい神社に出会えた喜びからか、はたまたこの神社の底知れぬ恐ろしさにおののいているからか。
どうしても脚が進まず、拡大して一枚写真を撮る。はたしてこれ以上先に進んでも良いのだろうか?いや、ここまで来たんだ、根拠もない恐怖心なぞに飲まれてたまるか。そう心に決め、また歩みを進める。
そして……
ついに目の前まで来てしまった……。
ここまで来てまた、その形容しがたいプレッシャーに脚を止めてしまう。あぁ、これは写真を撮るためなんだ。写真を撮るために脚を止めたんだ。ここには何もいない、何も怖くない。そう自分に言い聞かせ、鳥居の写真を数枚撮影する。といっても、その時の緊張からか、全て上の写真と同じアングルでの撮影だった。
しばらくそうしていると、ふと後ろに気配を感じた。
振り返ると、身の毛がよだつような、恐怖すべき対象として遺伝子に刷り込まれたかのような、根本からの恐怖を感じる音が聞こえた。
ブゥゥゥゥゥゥゥゥン!!
その重低音は、気づけばすぐそこまで近づいてきていた。
そう、その音の正体は……。
スズメバチだ!!
私は音の方向を強く見つめながら、ゆっくり、ゆっくりと刺激しないように動いた。そしてある程度まで音が遠ざかった瞬間に、全力ダッシュで車へと戻った。スズメバチはその後もしばらく鳥居の周りを飛んでいたため、結局参拝は諦めて帰路についた
。正直な話、この時の私は、神社から逃げる理由が出来て嬉しいとか思ってました。軟弱ものですね、近い内再訪したいと思います……。


