拝啓 寒風が体に沁みる季節。

今日もとりとめの無い内容だ。

日常という奴は厄介だ。笑顔を振りまいていたと思いこちらがうつつを抜かし、阿呆面を拗らせていると、途端顔をしかめ始め終いにはそっぽを向いてしまう。


情緒不安定なのか、気まぐれなのか、単に性格が悪いのか、何も考えていないのか、それすらも分からない。何も読めない得体不明の生物 日常。
20年以上一緒に居ても何も掴めそうにない。それどころか年々その所在が分からなくなっている。どこを掴んでも空振りばかりしている気がする。


20年以上、こんなに長い期間付き合ったものは無いので私自身も影響を受ける。何故生活しているのか。見失う事がある。私は何故その場所を、行為を、気持ちを選択したのか。意味を問うてみたが自身の中に答えは無かったので、日常にも聞いてみたがどうやら会話も難しくなってしまっていたようだ。声が届かない。手を伸ばして周りに何か掴めるものはないか探ったが、日常の裾すら見当たらない。


20年来の付き合いなのに随分と寂しい奴だ。貴君もそう思わないか。会話すらしてくれないのは流石の私にも堪えた。そちらがその気ならば、その真っ白な世界を様々な色で埋めてやろう。無理矢理にでも振り向かせてやる。まあ振り向かなくても私は無手勝流にやり続けるが。






青春とも付き合いが長い。いつからの付き合いと定義する事は難しいが10年以上になるのは間違い無いだろう。此奴には少し申し訳なさがある。色を塗れてやれた事が殆ど無いからだ。名の通り出会った頃は青さ満開の笑みを浮かべてくれていたのだが、最近は色もとりとめない。判断不可になって来てしまっている。どうにか絵の具が欲しいのだが見当たらない。貴君何所を知らないか?



2人とも付き合いがここまで長いのに、何の彩りも与えあられていないのは私の不徳の極み。前世まで呪いたい気分だ。どうか断ち切りたいこの因果。
しかし、とふと私は立ち止まってみた。そもそも本当に存在しているのか?日常や青春といったものは私が作り出した幻想なんじゃないのか。元々は彼らの実体も色も声も言葉も、何も存在しないのではないのか。私自身という空っぽを埋める為に私が創り出し、更に空っぽを上乗せしただけなのかもしれない。
そう考えると都合が良い。元から中身のあるものは何1つ存在し得ない世界なのだから、私が何を創ってもいいし、滅びるのも勝手。すまない、日常、青春。空の日々が続くが私は気ままに色を投げ続ける。振り向かなくても良い。それでも生きて行くのだから。
恐らく、音楽や映画、アニメ、漫画、小説などが殆どになってしまうだろうが我慢してくれ給え。そんなに手数が無いのだ。知っているだろう??
これらを投げる時ぐらいは笑顔でいるから、どうか見守っていれくれ。正確には見守られている気でいるよ。



貴君にとっては恐らく何の事だか分からない話になってしまった事は陳謝したい。こんな私だがこれからも片手間程度でも付き合っていただけたら幸いです。貴君の日常と青春がどうか彩り溢れていることを願ってやまない。例えそれが虚構でも



大切な友人   敬具


貴君の発展を願う者