少し前に買ってテーブルに積んであった宮本輝さんの 

『もうひとつ「流転の海」』を読み始めました。

 

これは「流転の海」に出てくる人物が登場する短編集です。

 

まず最初の短編、「力」。

宮本さんが小学校に入った頃の話。

曾根崎や梅田新道、阪神百貨店、御堂筋など、自分が大阪に

いた頃に行ったところも出てきます。

そして、道路に捨ててあるシケモクを集める老人とか、

道路に寝ている老人を「死んでる」とかって子供が冷やかすことも

昔は普通にあったことです。

今ではホームレスにそんなことをしてはいけない、

と教えられますが、昔は普通にあったことです。

学校でイジメもありました。

また、自分の学生時代、道路に落ちているシケモクを拾うことは

さすがにしなかったが、自分が吸ったシケモクを吸っていました。

昭和中期の頃のことが詰まっている短編でした。

 

そして、「流転の海」に出てくる宮本さんの父がモチーフとなっている

松坂熊吾のふるさとである愛媛の御荘を思い出してしまいました。

2週間ほど前に行った四国旅行の2日目に、宇和島市から四万十町に

行く途中、あれここは「流転の海」に出てくるところだとわかり

急遽カメラで写しました。

 

ガラス越しのカンバンを拡大すると、

国道56号線と書いた脇に、愛南町 御荘平城と書いてあります。

他にも、一本松や城辺という地名もありました。

 

ああ、こういうところなんだ。

温暖なところのようですが、松山からも結構な距離があるし、

戦後の頃に大阪からみると、行くのにずいぶん時間がかかる

ところだったのだろう。

 

と、バスの中で「流転の海」を一人思い出しましたが、

次の旅行は好きなところをゆっくり見て回ることにしよう。