新型コロナウイルスの影響で全国各地の海水浴場が開設を見送る中、海開きしている京都府北部の一部の海水浴場に人出が集中し、関係者が感染防止に苦慮している。一方で、閉鎖している海水浴場では観光客らがビーチに侵入するなどの迷惑行為が多発。地元は頭を悩ませている。【写真】コロナ禍で人気のマリンスポーツとは 多くの家族連れが水遊びを楽しむ宮津市由良の丹後由良海水浴場。東隣の舞鶴市や福井県の多くの海水浴場で開設が中止となったことで、例年の1・5倍以上の海水浴客が詰めかけ、駐車場には関西圏のナンバーが並ぶ。 浜茶屋「三喜」では全従業員がマスクを着用。消毒など感染対策を行い営業するが、マスクを着けている客は見られない。同店を経営する男性(70)=宮津市=は「駐車場や売店でどうしても客と接触する。多くの人が来てくれるのはありがたいが、感染が不安だ」と漏らす。マスクを着けるよう注意したこともあったが、効果はなかったという。 宮津市は感染対策のガイドラインを策定したほか、警備員を配置しマスクの着用などを放送で呼び掛けているが、実際に徹底させることは難しいという。担当者は「現場では事業者の方に注意してもらうしかない」と話す。 駐車場不足も問題になっている。例年海の家として営業する3店舗のうち、2店舗が新型コロナウイルス感染を懸念して休業。そのため、同店の駐車場に車が集中し、土・日曜には国道沿いに長い駐車待ちの列が発生。近隣の住宅への迷惑駐車も見られるという。 一方、開設しないことを決めた伊根町泊の泊海水浴場では、ロープや柵を乗り越えてビーチに侵入する観光客が後を絶たない。近くの町営駐車場はコーンなどを設置して閉鎖しているが、海沿いの道路に、多いときは10~15台の車が駐車されているという。 トイレなどには観光客の残したゴミなどが散乱し、地元住民らが片付けや分別を行っている。泊区長の男性(72)は「閉鎖していると伝えても『知ってます』と言ってビーチに入っていく人たちもいた。地元は迷惑している」と憤る。 宮津署は「通報があれば取り締まることもできるが、ずっと待機しているわけにもいかず、難しい」と対応に苦慮している。