anothersky105のブログ

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めでたし。めでたし。

そう教わった。

子供ながらにいい終わり方だと感じた。

それが間違っていたとは思わない。

しかし、違う視点から捉えられていれば
もっと優しい人間になれていたのかもしれない。
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4月下旬。温かい風が島を吹き抜け、
多くの命が心躍らせていた。

この島にもようやく春が訪れたのだ。

北緯45度に面するこの島は冬が長くマイナスの温度を越える日々が続くため
毎年幾らかの尊い命が消えてなくなる。

いつしか、ごく自然に、冬を越えると祭りを催すようになっていた。
その祭りは「生き抜いた者を祝う」のと同時に「亡くなった命を悼む」意味を持っていた。
それほど、この島に住む者は、命を大事にしていた。

陽気に、深刻に祭りを終え、島は、慈愛に満ちた雰囲気に包まれていた。
島の一番北に一家を持つ「アニー一家」もその一つであった。

子「お父さん、夏になったらどこにいく?」
父「そうだね。お前が行きたいところどこでも連れてってあげるよ」
子「ほんと???」
母「ちょっと、そんなこといったらこの子とんでもないところに行きたいって言うわよ(笑)」

たわいもない会話が冬を越えた今では幸せで仕方がないのだ。

このアニー一家の父アニーは、普段、島の戦士を任されている。
強くて勇敢な父に、子のカカオは憧れていた。

カカオは生まれつき体が弱く、病弱なため、「この冬は越えられないであろう」と医師に宣告されていた。
しかし、アニーは生き延びた。
それは強い意志と、ある約束によってなされた。

「冬を越えたら、武器を使った戦い方を教えてやる」という父との約束だ。
父はそれまで、戦いを教えることは絶対にしなかった。
病弱なカカオは、武器を持つことすらままならなかったし、
それに、戦いなど知らない方が幸せだからだ。
父は強いが故に、強いことの責任を知っていたのだ。

だがオス同士の約束。守る他ない。
「カカオ、明日の12時、浜で訓練をするぞ」
この言葉を聞く為に、生きてきたようなものであったカカオは
「うんっ」とだけ返事した。

その日、カカオは眠れなかった。
武器を抱きかかえて、明日を待った。
ちょうど、ずっと好きな相手と、初デートをする前夜と、気持ちが近かったと思う。

翌朝、ついに訓練してもらえる日がきた。
天候は晴れ。訓練日和だ。

待ち焦がれていたカカオは一時間早く浜に行き、武器を振っていた。
しかし、12時まで15分の時、事態は急変した。

海の向こうに、見たこともない影があることに気がついた。
それがこちらにゆっくり近づいてくる。


ー11時50分、ついにその影を肉眼で捉えることが出来た。ー






それは小舟に乗ったニンゲンであった。





続く