ほんのりと たおやかに季節は巡り なだらかな丘の上のその一軒家に 彼は訪れた
その痩身をスーツで覆い 駅から我が家まで 娘と一緒に歩いて来た彼に 娘と同じ『倹約家』と云う価値観を感じた
ハンサム・・と云う言葉より 美しいと云う言葉が似合う顔立ちと 世間一般では知的職業と揶揄される彼の仕事に 本当にウチの子でいいんですか?と何度も訊ねた母親の私・・娘の身体の事 病気の事はご存知なのですね??と何度も念を押す
私の知らないところで いつの間にか結婚相談所に入会していた娘 勿論 病気の事 そして病気の為に身体障碍となった事実も 全て伝えていたとの事
母である私も 娘からすると祖母となる私の母も ずっと前から娘には 結婚等は諦めるように促して来た 辛いけれど 辛かったけれど それが貴女の幸せだと言い続けて来た・・が・・
あれから一ヶ月が過ぎ 当初混乱していた私の心も ようやく凪始め やっと落ち着きを取り戻した・・そう なのだ
娘には 娘の人生がある
いくら肉親と言えど 娘の人生にまで口出しは出来ない もしも もしも上手くいかなかったら その時はその時で また迎えてやれば良いだけの事
そう割り切っても 辛抱強さだけが取り柄の娘だから きっとまたギリギリまで辛抱するのだろうなと思う 病気が発覚した時もそうだった 痛い 辛い 苦しいと弱音をもっと吐いて欲しかった
私は 娘が1歳半の頃に家を飛び出すかたちで離婚をした 元夫は 真面目を絵に描いたような人だった
世間知らずのバカ女であった私は 彼の真面目さが退屈だった 大学の哲学科を卒業した彼の目指す生き方〜ただ人生を淡々とひたむきに生きて行くという彼の生き方にも反発した まるで思春期の子供のように
・・娘は幸いにも 私には全く似ずに 1歳半で別れたにも拘らず 元夫のDNAを色濃く受け継いだ 地味で真面目 兎に角倹約家 正直面白味はないかも知れないが
淡々とひたむきに日々過ごして行ってくれるだろう
最後になってしまったけれど 娘のお相手様には 本当に感謝しかありません
正直 申し訳なさでいっぱいですが
娘のことを どうか宜しくお願いします
貴方のその朗らかな笑顔で 娘を幸せにしてやって下さい 本当にありがとうございます 感謝致します 感謝致します🍀🙇