モミアゲの儀が終わり、みな、JR東西の社員らしい髪型となったところで
新入社員研修中の心得や寮生活で気を付けるべき点などを一通りインスト
ラクターから告げられる。
長々と説明をされたが、一言でいうと「かなり厳しい寮生活」ということ
だった。
どんな小さなミスでも連帯責任であり、ミスが起きた時はその原因を徹底
的に探り、再発防止策をみんなで考え、それを実行することだった。
しかし、それ以上に強調されたことがあった。
それは、我々が「総合職」として入社した点だった。
インストラクターは繰り返し、「君たちは総合職です」と事あるごとに我々
に言った。
正直、最初はなんのことだか分からなかったが、次の日の入社式でその意味を
知ることとなった。
入社式当日、1000名近い新入社員はみな大型のバスに乗って名古屋市内に
大規模なホールへと集まった。
バスから降りると「総合職」は少しの間待たされ、その間にも高卒や短大卒
などが順番にホールへと吸い込まれていった。
外で待つこと30分、ようやく総合職がホールへと入る番となった。
何をそんなに待たせることがあったのだろうか。
私も含め、周りのみんながそんなことを小声で口にしながらもホールに入場
すると、その理由が分かった。
先に入場していた高卒や短大卒、専門卒、プロフェッショナル大卒はすでに
整然と並んでおり、着席もせずに起立の状態で総合職である我々が入場する
のを待機していたのだ。
つまり、総合職100名が入場して着席するまで、ほかの新入社員約900名
が待っていたのだ。
そして総合職が入場すると同時に、館内のアナウンスで
「それでは、今年度の総合職の入場です」とアナウンスされた。
わざわざアナウンスする必要がないような気もするが、それだけJR東西の中
では「総合職」と「それ以外」の差は歴然としており、社内でも正に「別格」
の扱いを受けるのだ。
そんな特別待遇に私も少しは良い気もしたが、それ以上に気持ち悪さを覚えた。
最終学歴が違うとはいえ、同じ入社年度なのにこうも扱いに違いがあるのでは、
面白く思わない人間も大勢いるだろう。
そんなことを考えつつ、総合職以外の同期入社の顔を見ると、やはり少し呆れた
ような、苛立ったような顔をしている人が多いように感じた。
そして、この入社式での待遇がJR東西式の「エリート教育」のはじまりに過ぎ
なかった。
うてし