本日の読書感想文





文庫本、派




店長がバカすぎて

早見 和真




 ​手にとった、ワケ



強烈に目を惹く、タイトル。

本屋さんで見つけたときに、くすっと笑ってしまう。

これは、おもしろそう、と一目惚れ。即決。




 あらすじ



吉祥寺の書店員の京子さん。

職場には、人を苛立たせるプロ、”非”敏腕店長。



毎日、爆発寸前(ちょっと爆発してるかも)。

焦りを感じたり。自信が持てなかったり。



“辞めてやる”と思いながらも

仕事と本を愛する京子さん。



そんな”普通”の女性が、悩みながらも

一歩一歩を歩んでいく、日常の物語り。




 感想文



この店長が、絶妙なのである。

喋り方、言葉選び、醸し出す雰囲気が絶妙なのである。



きっと、誰しもが。

毎日、悩んでいる。不満を抱いている。

理不尽を抱えている。



そこを逆撫でる。



ちょっと期待すれば、裏切られる。



店長と京子さんの空気感が絶妙なのである。



ハタから見れば、どこか愛らしい。コントである。



しかし、自分の上司ならば

そんなことも言っていられない。



いや。



もしかしたら、全て店長の作戦なのかもしれない。



もしかしたら、すごい人なのかもしれない。



30歳近辺。世間ではアラサーと言われるお年頃。

なにかと、焦りがちなお年頃。



(どの年代も同じなのではないだろうか)



自分はこれでいいのだろうか、とよく思う。



人と比べて抱く、不安や劣等感。

仕事や将来、人生への不安。



そんな、キラキラしていない毎日の

普通の女性のわれら。



考え方を少し変えれば、なにかを踏み出せば。



もしかしたら

ちょっとだけキラキラしてくるのかもしれない。



店長はバカなのか。

嫌い、ウザい、ムカつく、で終わらせるのは勿体無い。



わたしは勿体無いで、終わらせてしまった人が

今までたくさんいたのかな。



きっと、みんな、もがきながら頑張っている。



書店員さんのお仕事って奥深い。




 すきな、フレーズ



「私はどんな仕事であっても、辞めたきゃ辞めればいいと思う。とくに私たちの年代は、続けることの美徳みたいのを語りがちだけど、私はまったくそんなふうに思わない。誰だって必死に自分で生き方を選び取らなきゃいけないんだよ。そこに誇りを持てないなら、働いていても仕方がない。たとえ給料が一千万だろうが、二千万だろうが、書店に生きる意味を見いだせないって京子ちゃんが言うなら、辞めなきゃいけないって私は思う。申し訳ないけど、たとえどんな仕事であっても、替えの利かない人なんていないから。必ず次の誰かがその枠に収まるものなんだ。働く意味は絶対に自分自身にある。自分で選び取らなきゃいけないんだ」 (文庫本 p196より)