彼女はその、
妖艶な瞳を私にむけて
告げる
「狂え(飛べ)」
甘い囁きに私の顎が、
小刻みに震えている
その色に魅入ってしまうと
彼女の声しか聞こえなくなる
喉が渇き、口いっぱいに血の味がする
これはあなたに口づけたあの時の余韻だね
あの時から私はずっと
狂気と正常の境界を
細く切り立った尾根のような境界を
歩いているよ
「あのー?もしもし?」
その言葉で現実に戻る。
「…失礼しました、担当者にかわりますのでお待ちください」
無事に電話をつないで受話器をおろす。
周囲の音が聞こえない。
のろのろとPCに向かい、データをバックアップしてシャットダウンする。
なんのことはない。
いまかかってきた電話の方の苗字が、
前に好きだった人と同じだっただけ。
彼じゃないってわかっているけど、
胸が高い声で鳴き、
途端に彼のことを思いだした。
シャツを着た後ろ姿。
かなり見上げないと目が合わないから、首がしんどかった。
私より体温の低い、乾いた手の感触。
ずっと忘れていたけど、
ほんとうに、彼が好きだったんだ。
心の奥底にこんなにも大切に
彼にまつわる思い出を仕舞っていたんだ。
そんなことを今更思う。
会社を出たら細い細い黄金の月が
空からぶらさがっていた。
その言葉で現実に戻る。
「…失礼しました、担当者にかわりますのでお待ちください」
無事に電話をつないで受話器をおろす。
周囲の音が聞こえない。
のろのろとPCに向かい、データをバックアップしてシャットダウンする。
なんのことはない。
いまかかってきた電話の方の苗字が、
前に好きだった人と同じだっただけ。
彼じゃないってわかっているけど、
胸が高い声で鳴き、
途端に彼のことを思いだした。
シャツを着た後ろ姿。
かなり見上げないと目が合わないから、首がしんどかった。
私より体温の低い、乾いた手の感触。
ずっと忘れていたけど、
ほんとうに、彼が好きだったんだ。
心の奥底にこんなにも大切に
彼にまつわる思い出を仕舞っていたんだ。
そんなことを今更思う。
会社を出たら細い細い黄金の月が
空からぶらさがっていた。
花が咲き
蝶が舞い
鳥が唄う
風は温暖
実る果実
水は清涼
人々はすべて笑顔で
微笑んで鳥と一緒に歌ってる
上も下もなく
恐怖や不安もなく
太陽の光を浴び
まぶしければ大きな木の
ひんやりとした木陰にいけばいい
そして私のとなりには
あなたがいる
まるで楽園
四方は真っ白なスクリーンで
自分ひとり
部屋の真ん中に座っていても
スクリーンの中の世界を信じさえすれば
人はいつでも楽園にいける
あなたは自由だ
蝶が舞い
鳥が唄う
風は温暖
実る果実
水は清涼
人々はすべて笑顔で
微笑んで鳥と一緒に歌ってる
上も下もなく
恐怖や不安もなく
太陽の光を浴び
まぶしければ大きな木の
ひんやりとした木陰にいけばいい
そして私のとなりには
あなたがいる
まるで楽園
四方は真っ白なスクリーンで
自分ひとり
部屋の真ん中に座っていても
スクリーンの中の世界を信じさえすれば
人はいつでも楽園にいける
あなたは自由だ