偏頭痛
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「ごめん、別れよ」





その愛しい彼の声に、私はただこくりと一度うなづく。



たったその簡単な動作だけで今までの、1年間の思い出を壊せるなんて、なんて悲しいことなんだろう。


やっぱり子供の付き合いなんてそのくらいの価値だということなんだろうか。



そんな事を考えていた私は、いつこの場をさろうか試行錯誤している目の前の【元彼】に疑問を投げかけた。



「なんで?」



「え?」



「なんで、だめなの?」




意味を理解したのか、彼は考え込む顔をした。


・・・そんな酷い理由なの?






「…お前がよくわかんないよ、俺」




「…」




「一緒に居ても笑ってくれること少ないし、手だってつながないし、1年一緒にいてキスもしてない。」




「…」




「…ごめん、でも、もう限界なんだ。」




「そっか」




「俺は大好きだったよ。」




「うん…ありがとう」




「鈴は、好きじゃなかった?」




「そんなことない」




「…ならなんで、」






会話の後、彼は歯切れの悪いそれだけを残して去っていった。



酷く優しかった、優しすぎた彼の怒鳴り声を初めて聞いた私は、


足がすくんでしばらくその場から動けないで居た。


その目からは静かに涙が流れる。



真冬の夕方。頬を冷やしてゆくそれを私は拭うこともせず、ただ冷たさを感じていた。



私はいつもこうだ。


臆病になりすぎてなにもできなくて、相手を不快にさせてしまう。


それは恋愛だけじゃない。っというより、恋愛は彼が初めてだったのだけど。



女の子相手でも変な遠慮を使って、私は、友達は少ない。


その数少ない友達も、今や表面上のものでしかない。悲しい。




「・・・はあ」




ため息をすると幸せがひとつ逃げていくというなら、


私のため息にそれだけの価値があったということなのだろうか。


・・・いや、吐き出す幸せすら、今の私にはないかもしれない。




そんなことを考えながら帰路につく。



いつもの玄関。


いつものお母さん。


いつもの部屋。


いつものベット。



なにも変わってないのに、全て変わったように見えるのはなんでだろう。










1・好きとただそれだけで

(変わっていたはずなのに。)










100313