嘱託の6ヶ月もあっという間に過ぎ、会社人生活も残すところ1ヶ月となった。
周囲の日常は相変わらずバタバタだけど、私だけは毎日ゆっくり過ごしている。

昼間は暇でも、夜は連日あちこちで送別イベントをセッティングして頂き、芸能人なみの忙しさだ(笑)
北海道から九州、沖縄まで、多くの仕事仲間がいたけれど、会社引退しても連絡を取り合ったりするのかな・・・と考えると、そんな人はほんの一握り。
送別会やら壮行会をやってもらう度に、もうこの人達とは一生会わないのかも・・・と言う、さみしさを感じる。

周りの皆は至って普通であり、このさみしさは、やはり去っていく本人にしかわからないのだろうなぁと思う。
そう言う自分も「あぁ送別会かぁ」なんて言う軽いノリで、過去に数多くの先輩たちを見送ってきた。
その人たちの気持ちが、やっと今は解る感じがする。

会社人生活と言う思いでを一つ一つ切り落として行く様な、何とも言えない気分になる。

 2019年3月29日、無事定年を迎えた。
定年したら気持ちが"無"になり、何も書けなくなった。
いや、書く必要が、もう無くなったのかもしれない。

一応職制の立場にあった私は、半年間だけ”引継ぎ”の名目で会社には在席している。
でも引継ぎに6ヶ月もかかるはずもなく、毎日「無」の日々を過ごしている。

この「無」の期間を有意義に使わなくては・・・と思いながら、今はただただダラダラ過ごしている。
また9月以降はどこかで働くつもりではいるけど、思えば波乱万丈の社会人生活だった。
色々思うことは多いけど、決してイヤな人生ではなかった。

初めてSMの本を目にしたのは、とある田舎の温泉街にある雑貨屋の店先だった。
今思えば、どうしてあんなところに・・無造作にSM本が置いてあったのだろう。
マンガ本や女性週刊誌なんかに混ざり、何の違和感もなく普通に並べてあった。

私は何だこれ?と思って手に取った。
そこには官能的な表情をした女性が麻の縄でガチガチに縛られていた。
エロ、グロ、と言う感覚はなく、あぁ綺麗・・・と瞬間に感じたのを覚えている。

そんな事があってから、私は頭の中からあの写真が離れなくなった。

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でも、良かったと思う。
後になって思えば、その本はたぶんSMファンとかマニア、セレクト、スナイパー、コレクターと言った類の雑誌だったと思う。
とにかく凄く綺麗だった。あれが俗にいうビニール本だったなら、こんな感情を持つ事にはならなかったと思う。
そして「こんな風に縛りたい」とは思わず、「こんな風に縛られたい」と言う感情になったのを覚えている。

食事をしてても、歩いていてても、勉強してても・・・生活の中からあの映像が消えることはなく、モンモンと幼年期を過ごしていったのだと思う。

今の私の思考のルーツは、あの温泉街にある雑貨屋の軒先から始まったのかもしれない。

人は数百年進化をし続けてきた。そして今もそれは続いている。 
誰かにコントロールされたわけではなく、自然の環境や社会と言う障害物を乗り越え進む為の、自然な進化なのだろう。 
それを感じるのは、そこから離れた者だけ。
進化しつづける者を誰も否定してはいけないし、することも、する必要もないのだ。 
老兵は去るのみ。
でもそんな老兵は幸せだったりする。

自分の想いに正直に、悔いの無いように進む。自分の人生。
でもそれは、人とぶつかり、ある時は嘘も使い、人を傷つけることもある。
それで貫く信念は、果たして正しいのか。

ひとりになると涙がでる。でもその涙は自分の為か誰かの為かもわからない。
悲しいのか、寂しいのか、悔しいのかもわからない。
じゃ不幸なのか・・と問われればそうでもない。

この年齢になればもっと達観して自分の事が見えるかと思っていたけど、
余計にわからなくなってきた。

某都市の某有名女装スナックに行ってきました。
色々考えたけど、やっぱり店の名前は伏せた方がいいと思って「某」。
純粋に・・・楽しかったぁ。

前々からその都市には出張でよく行くし、そこにその手の人達には老舗の有名店があることはわかっていた。
でも、足を運ぶと言う心情では全くなかった。
それが、どうしてだろう・・やっぱりどこか寂しいのかなぁ。
もう、ウン十年この世界とは無縁だったはずなのに。

地図を見て、店自体はすぐに見つかったけど、入り口の前を数回行ったり来たり。人が来るとちょっと隠れて知らないふりしてみたり。
何か学生の頃みたいな新鮮な心境になった。

店に入ると、私は出張で立ち寄ったサラリーマン。
女装に興味があるの?女装子が好きなの?と店のお客さんに色々聞かれた。さすがに店のママさんはヤボな事言わなかったけど。
私は初めて入った初めてのお客なのに、お店のお客さんが気さくに話してワイワイやるのは、こうゆう店特有のノリなんだろうなぁ。

ちょっとビックリしたのは、最近はコスプレ系の若い人達が来てアニソン歌って盛り上がる時もあるみたいで、時代も変わったな・・と、うなずいてしまった。
相変わらずなのは、ハッテン場の、あそこ行ったココ行った。あの人とどうこう・・と言う話。
やっぱりこの世界は幅も奥も深いわぁ~と、それもまた楽しい。

昔はアングラな雰囲気があったこの手のスナックだけど、今はある意味市民権も得てたくましくやっている。
経営大変なのかなぁ。でもこう言う店は消える事はない必要枠だよなぁ~なんて余計なことまで考えながら、静かにビールを飲んで帰りました。

楽しかったよぉ
また行っちゃうかも。。

江東区文化センターで「曾根崎心中」を観劇してきた。
あまりココに書いた事はなかったけど、芝居は年に数回見に行っている。
それでも今回は随分久しぶりかぁ。


相愛の若い男女、徳兵衛とお初の心中の物語


何も死ぬことは・・と現代感覚では思うかもしれないけれど、
そこにしか行き場がなくなる二人の思い。
愛する人を刺せない徳兵衛の葛藤。


人には、どうすることも出来ない事柄がある。
折合を付けられるくらいの事ならまだしも、
決して譲れない事柄もある。


決して譲れない事柄を抱えた者は、
決して満足することも、
また出来ないのであろう。

私は平々凡々と暮らしている。


悪いことをしてしまったのか・・・
順風満帆なのか、
多少の波乱万丈も面白い・・


場面と・・その時の感情でいろいろな気持ちを自分の中で説得しながら生きている。


平凡が一番だ!と思いながら、何か刺激を求めている自分もいる。
職場も、仲良しこよしよりも、誰かと誰かがぶつかったり、何か問題が起きたりするのを密かに待っている様な自分がいる。


これって真に「他人の不幸は蜜の味」と言うやつであろうか。
意地悪、突っ張って、他人と違うことをやりたがる。


まだまだ、私は子供なのかもしれない。