小さな寝息が耳に入ってくる
懐かしい音なのにどこか胸を掻き毟られるようなそんな音…
寝てるだろうあいつにどんな声をかければいいのか解らず暫くそこに佇んでいると
“……ノ………ユノ”
たしかに俺を呼ぶ声が聞こえた
練習生の頃から何度も聞いた声、助けを求めてるはずなのに強がってる時の、あの大きな瞳に涙が溢れかけてる時のそんな声
その声を聞いた瞬間弾かれたように身体が動き声をかけてた
「ジジ!俺だここに居る!」
言葉が出るのが早かったかあいつが寝てるはずのベッドに近づいて布団を捲りあげるのが早かったかなんて覚えてないけど、そこに居たのは身体を胎児のように丸くして、自らを抱きしめながら涙を流すあいつの姿だった…
気がつくと身体を上から覆うように抱き締め何度も何度も名前を呼んでる俺が居た
「ジジ!俺だ起きろっ!
来たから……お前のところに来たから、頼むから目を覚ませ!」
俺は…俺のことしか考えて無かった
意地っ張りで、泣きながらでも俺が絶交するって言っても泣いてる理由を言わなかったお前が、相手の気持ちを優先して自分の身を削っていくようなお前が俺が動かねぇのに動くわけ無かったんだよな…
「ジジ、待たせてごめんな!遅くなってごめん。俺、来たから。お前のところに来たからもう泣くな…起きろ」
指先で涙を拭い、頬や耳に唇を押し当て
赤ん坊をあやすみたいに、あの頃、拗ねたお前にしてたみたいに背中をトントンと叩くと、背骨を指に感じた
なぁ……元々細かったけど、お前また痩せたんじゃねぇ?
「ジジ、もうお前から離れねぇから…約束するから起きてくれ」
こんなになるまでこいつを追い詰めたことが苦しくて涙が溢れそうになった時
ジジの瞼がゆっくり動いた
「ジジ!ジェジュンア!」
涙を溢れさせながら必死で呼びかける俺をその潤ませた瞳に捉えると、泣いていたことなんて感じさせない位の優しい笑みを浮かべて頬にに手を伸ばし、まだ出きらない声で
“ユノ?どうした?俺居るよ、ここにずっと居るよ?何かあったなら俺に言えよ聞いてやるから”
なんて言うから、思わずきつく抱きしめるとビクッとその身体が硬直させたのを感じたんだ。
なぁ、お前は何を思って今の俺にそんな優しくできるんだよ…
本当に…こんな時ありふれた言葉しか出てこないもんだな……それでもあるだけの気持ちを込めて伝えないと
「ジェジュンア、俺だよ…待たせてごめんな」
この言葉が終わらないうちに腕の中のお前が俺の首に腕を回し、腰に両足を回して嗚咽をあげて泣きはじめた
“ユノ!ユ……ノ……夢…じゃねぇ?お前なの?”
「夢じゃねぇよ、俺だよ。でかい赤ちゃん」
思わず笑を零すと
“俺の名前呼べよ!”
「ジジ、ジェジュンア〜俺だよ。お前のユノだよ」
お前を抱えて膝に乗せるように座ると、首筋の匂いを嗅ぎながら1ミリの隙間も許さないかのように身体を擦り寄せてきたお前の背中をあやす様に何度も軽く叩きながら歌うように名前を呼び続けると少しずつ身体から力が抜けてきた
「ジジ、待たせすぎたよな…ごめんよ
……顔を見せてくれよ」
素直に少し身体を離すと、声も立てず涙を零しながら何度も頷くお前に先ずはこれを伝えなきゃな
「俺はもう、お前から離れねぇよ?お前を1人になんてさせねぇから」
“なぁ、本当にこっちが現実?”
まだ訝しげに軽く眉を寄せながら首を傾げるから
「現実だよ。今俺がここにいるのが現実だ。な?解るだろ?俺は夢みたいに消えねぇよ。
ジェジュンア?お前が俺のそばにいるのは当たり前なんだよ。俺たちはお互いの空気で水みたいなもんだからさ、いないと死んじまうそうだろ?
離れてる間苦しかっただろ?だからさ……」
まだ顔を上げないお前の髪を何度も指に絡めるように撫でながら
「天が二人を分かつまで……一緒にいよう。今お前に誓うよ」
そう言うとお前の左手を取って薬指に唇を押し当てた
「ジェジュンア、お前から離れない。俺のそばにずっと居てくれ……
愛してるよ。天が二人を分かつその時が来ても永遠に愛してる。ずっと一緒にいてくれるよな?」
まるでプロポーズみたいなセリフ…そういえば今日は………
「何年前だっけお前が結婚宣言したのは」
俺の言葉にハッとしたように目を丸くして俺をしばらく見つめると
“お前、覚えてんの?あれがいつだったか…”
って、また涙をポロポロこぼして俺に抱きついたお前に
「結婚記念日だろ?忘れる訳ねぇし
しばらく祝えなかったけどこれからは、毎年祝おうな」
そう答えると頬に唇を押し当てた
何度でも誓うよ、お前が居て初めて俺が俺でいられるんだ
愛してるよ、ジェジュンア
これからは離さねぇから