アニメ神の本棚 -3ページ目

アニメ神の本棚

最近本が物凄く好きで、いや前から好きなんだけど、ブログで紹介したくなったw

見直すと結構な量書いたな




森乃稲荷神社は、森乃村の東側に鎮座する楓山を十数分程上った所に社殿を構えている。
左右へと曲がりくねった山道をいくらか上り、そこからさらに石段を数分かけて踏破してようやく鳥居へと辿り着くことが出来る。
決して神社への道は難しくないし、然程時間もかからない、かからない筈なのだが………
「おかしい、俺はなぜここにいる」
この男、辻井拓也はこの楓山の山中を一人彷徨っていた。
(とりあえず、ここまで何があったのか思い出そう。え~と確か…・・・)

脳内で時を遡ること約半日―――

『次は~、森乃稲荷神社前~、終着駅です』
田舎ならではの連結数の少ない電車内に聞きなれたイントネーションのアナウンスが流れる、しかしあまり聞きなれた地名ではなかった。
(ん……、っ……着いたか)
最後に電車を乗り換えてから眠っていた拓也はその声で目が覚め、電車の中だというのに「んーっ」と伸びをした。
都会ならこんなこと周囲の視線を気にして出来やしないのだが、何せ田舎だ、伸びを終えて目を開けると案の定、拓也以外の乗客は見当たらなかった。地方の電車なんて地元民でもそう多くは使わない。
「ふぁー…」と一度大きな欠伸をしてから窓の外へと視線を投げる、昔と何も変わらない、懐かしいこの村の景色が視界に飛び込んできた。
(久しぶりだな、ここに来るのも……)
中学校入学直前に両親の仕事の都合で東京へ引っ越して以来、ここへは一度も戻って来ていなかった。
勉強、バイト、神主になるための勉強、使える時間は全て有効活用していたため、遠出をする時間など無かったのだ。
だが、その努力の甲斐あってか、高校三年の後半全てを自由に使えるだけの余裕を確保出来たのだ。
そして、この時間をまた有効活用するためにこの村へ帰ってきた。

神主になるための勉強、とは言っても書籍で得る知識だけでは神主になれない、と本人は考えていた。知識も大事だとは思うのだが。
そこで、また昔のように神社の手伝いをすることで経験を積もうと考えここへやって来たのだ。
拓也の両親も拓也の進路を応援しているため、行くなとは言わなかった。
両親の許可もとれた、百考は一行にしかず、あとは行動あるのみだ。
村に着いたら森乃稲荷神社で世話になろうと考えて来ているのだが、生憎森乃家の電話番号は覚えておらず、連絡が取れない。
恐らく断られはしないだろう、と少し図々しい考えではあるが、とりあえず足を運んでみたのだ。
もちろん、それでも断られた時は諦めて帰るつもりだった。
プシューというエアーの音と共にドアが開き、ホームへと降り立つ。当然の事ながら無人駅だ。
線路脇に咲く背の高いひまわりだけが拓也を出迎える。
屋根は無く、エアコンの利いた車内との温度差はかなりのものだが、都会に比べればかなりマシな方だ。
「さて、行くか」
駅から数分も歩けば神社へと続く山道の入口に辿り着く。
「あら、もしかして拓ちゃんじゃない?」
『村人Aが現れた』
(じゃないじゃない)
「おばさん!お久しぶりです」
ここに住んでいた時に近所に住んでいたおばさんだ、当時は色々お世話になったものだ。
「元気してた?東京って自然とか少ないでしょ―――」
それから数分立ち話をした、と言っても質問攻めされただけの気もするが。
「ところで、どうしてまたここに?」
もっともな質問がようやく出てきた。
「ちょっと、森乃神社に用がありまして………」
当然のようにありのまま伝えたのだが、神社名を出した辺りでおばさんの表情が曇った。
「あの―――」声をかけようとしたのだが、「そ、そう、ゆっくりしていってね。それじゃ私これから行かなくちゃいけない所があるから―――」
と言い残して足早に立ち去ってしまった。
(どうしたんだ?何か、あったのか……?)
これから行く神社の事だというのに先行きが不安になる。
田んぼ道を少し早歩きで進み、楓山の麓に到着した。
(楓……)
おばさんの反応が気になってしょうがない、坂道を小走りに山道へ入っていく。

「それから、山道が懐かしくてさっきの回想に入って……」
(現在に至る、と)
我ながら凄い集中力だった、回りが見えなくなるにも程があると思う。
その集中力を出来れば道を歩くことに回してほしかったが、今更もう遅い。
「とりあえず、状況を整理する為に当初の予定を時系列にしてみるか」
幸いにも熊などの危険な動物はいないので、落ち着いて考えていられる。
楓山に着く

計十数分程山道と石段を登る

森乃稲荷神社に到着する
(うん、ん、あれ、俺今どこだ?)
自分の現状が時系列に表示されなかった気がする、気がするというか完璧に表示されなかった。
(もう一度、ちゃんと思い出すか……)
再び思考を始める。
楓山に着く
←うん、ちゃんと着いたな
山道を登り始める
←登った、確かに登った
回想
←懐かしかったな~
現在
あ、ようやく表示された。
…………おかしい、確か十分くらい山道登れば石段に着いた筈なんだけが。
辺りを見回す、

木、木、木。

「………これが噂に聞く、遭難というやつか」
自分はいつからこんなにも方向音痴になったのだろう、今までこの山どころか東京ですら迷ったことなど一度もなかったのだが。
都会での生活で何か自然的な感覚が鈍りでもしたのだろうか、などと考えようとしたが、これ以上考え事をするとさらに迷いそうなのでやめて
おいた。
「でもまあ、山だしな、頂上目指して登ればなんとか……」
決して大きい山ではない、普通に考えればそれでも着くのだが―――

二時間後

「あれ?」
先ほどと違う場所ではあるが、今も山の中だ。
(頂上、目指してたんだけどな……)
時刻は既に11時を回っており、今頃太陽が村中を照らしている頃だろう。
登山開始から三時間、時間は確かに経過しているのだが拓也は未だに神社へと辿り着けずにいた。
(着替えとかは持ってきたけど、さすがにサバイバルキットは持ってきてないいなぁ……)
なぜだかこのまま辿り着けないような気がしてきて、ついそんな後ろ向きな事を考えてしまう。
決して諦めたわけではないのだが、不安でしょうがない。
改めて辺りを見回す、相変わらず木しか見当たらない。
視界いっぱいの緑を満喫するなど何年振りだろう、都会にはこんな自然は残っていなかった。
辺りに気を配っていると今までに気がつかなかった匂いや色、音に敏感になってきた気がする。
「ん?」
何かに気がついたのか、意識を集中させ耳を澄ます拓也。
気のせいではなかった、確かに聞こえてくる音があった。
(水の、音……?)
楓山には水源があり、確か滝も流れていた。
滝壺では滝業が行われることがあり、昔青葉さんがしているのを見学させてもらった記憶がある。
「この際川に出てもいい、登って行けば滝に着くしそこからなら……」
滝は神社の脇道を少し下ったところにあり、砂利を敷いた山道が続いていた。
あの場所からなら神社への道も短く、いくらなんでも辿り着くことが出来るだろう。
ようやく希望が見え始め、安堵のため息を吐く。
音のする方へと草を掻きわけ歩いて行くと、運の良いことに木々の間から滝が見えた。
「助かっ―――!」
ガサッ、と最後の草を掻きわけ滝へと飛び出す。
しかし、そこには既に先客がいたようで、発しかけた大声を慌てて抑え
る。
「た……」
(あ………)
ゴー、という滝の力強い流水の下、眼前に現れた滝壺で手を合わせながらその水を一心に受け続ける少女が一人、拓也の視界に飛び込んできた。
余程集中しているのか、未だに目も開けていない。
逆にいえば拓也が目を閉じれずにいた、瞬きするのがもったいない、一瞬で脳がそう判断を下した。
それ程までに彼女が神秘的であり、幻想的でもあったのだ。
第一そのこと以前に―――
「かえ、で……?」
口から出たのは五年前に別れた少女の名だった。
見間違えるわけがなかった、五年半、一度たりとも忘れることなく思い続けていた、大切な少女なのだから。
!
先ほどまで微動だにしなかった少女が目を見開き、まるでこの世にいない者を見てしまったかのような顔を拓也に向けてきた。
その口元は笑みを浮かべようとしているのか、怒号を放とうとしているのか、どこかぎこちない形になっていた。
合わせていた手は腰横へと下がり、どうやら集中が解けてしまったようだ。
少女が何か言おうと口を開きかけた、が―――
「危ない!!」
「え―――?」
少年の叫び声と行動によって、それは声が漏れるだけに押し止められた。
拓也は渾身の力を込め地面を蹴り前傾姿勢で跳躍した、幸いにも距離が離れていなかったため少女までは簡単に届いた。
少女の頭と腰に手を伸ばし、かばうようにして抱きしめる。
そしてそのままあまり深くない滝壺へと身を投げる。
刹那、バシャーン!と大きな水しぶきが上がる。
二人のものではない、それ以上の音が滝壺に響き渡る。
少し太めの、丸太の様な流木が滝壺に叩きつけられた音だった。
拓也が気付かなければ今頃少女に直撃していたことだろう。





結構書いたな、相変わらず文章力ないけど




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