まだまだ続くよ夫の出張。本日は久々の映画レビューを。昨晩はNetflixで見つけた映画を鑑賞しました。
あ、もちろん(?)ホラー映画よ。
2019年のアメリカ/カナダ映画、タイトルは
脚本・監督はかの伝説的ソリッドシチュエーションサスペンスホラー、ルービックキューブみたいな空間に閉じ込められた人々の阿鼻叫喚脱出劇を描く『CUBE』のヴィンチェンゾ・ナタリ。
原作は敬愛するスティーヴン・キング大先生(作品もお人柄も好きすぎるんです)とその息子さんジョー・ヒルの共作。
となったら、面白くないわけがないのよ。
お話は、妊娠6カ月のベッキーとその兄ちゃんのカルが車で移動中、ちょっと止まった教会の脇にある背の高い広大な草むらの中から「タスケテー!」っていう子供の声を聞き、あらこりゃ大変。子供が草むらで迷子になっとる、って助けに入ったところから始まります(以下、ネタバレあり)。
草むらは広大で、大人の背より高く伸びきってるのは一目瞭然なんですけど、すぐ近くにいるように思えた子供がとにかく見つからない。さらにベッキーとカルもはぐれてしまって、もはや草の中のどこにいるんやら、さっぱりわからない。
「どこ!カル!迷子の子!どっちもどこにいるの!?」
「ここだ!ベッキー!迷子っ子は動くな!今行くから待ってろ!ってか2人ともマヂどこやねん!?」
って、当然パニクるわけです。すぐに子供を見つけて草むらから出るはずが、いつまで経ってもみんなはぐれっぱなしで、草むらからも出られない。地面はドロドロ。妊婦のベッキーはお腹も痛くなってくるし、ヤバイです。
ベッキー、もしやここはヤバイ場所なんじゃ?
と怪しみ始めたところ。
とこのように、ソリッドシチュエーションの王道行ってます。このパターン好き好き好き。
とりあえず頑張ってジャンプしてみて、お互いを見つけられるか挑戦。
いたー!そして教会見えた!
つか、妊婦さんはこんなにジャンプなんかしたらいけません。
お互い、遠いなー。
しかも、2回目ジャンプしたら今度はお互いが見つからなくなっちゃった。あれれ?って、ほんでまた草の中をを歩きまくって探し合うんだけれども、また迷う(笑)。
そのうち夜になる。
カルはこの時点で迷子になってた少年トービンに出会います。そしてベッキーは、トービンのお父さんのロスに出会います。でもなんか、トービン少年もロスさんも何やら長いこと草むらにいたようなひどい汚れようだし、振舞いもなんかちょっと変。
トービン少年はカルを草むらの中にある大きな岩の塊のところに連れていき、「これに触ると何でもわかるんだよ」などとおかしなことを言う。
迷子になっちゃって怖い思いして可哀想なんだけど
なんかちょっと不気味なトービン少年。
なんか気持ち悪いので岩には触らず、また無駄とわかりつつもパニクりつづけあっちこっち出口を探してさまようカル、そしてベッキー。
そうこうしていると、ベッキーのお腹の赤ちゃんの父親であるトラヴィスが追って来ます。そして教会の横に停められていたベッキーの車を見つけて、やっぱり草むらに入り込んでしまうんですね。あーらら。
この辺から、この映画を鑑賞してる人はなんか時空がおかしくなってることに気づきます。
というのも、教会の横に停めたベッキーの車はものすごい埃かぶってるし錆びついてる。どんだけ前から放置してたのよ?っていう状態。なんと、トラヴィスがやって来たのはベッキーたちが草むらに迷い込んでから2カ月も経ってからだというではありませんか。
あれ?ベッキーたちが草むらに入ったのって前日じゃなかったっけ?2カ月も飲まず食わずで草むらで生きられんし。
で、とりあえずトラヴィス、ベッキーのほとんどミイラみたいになった死体を見つけちゃったりして、
ほぎゃーうえぇぇん、ベッキー愛していたのにぃぃ。
となるんです。ひゃー、ベッキーはそんな前に死んでたんかい。
で、絶望のトラヴィスさんも当然、「タスケテー!」って喚くよね。
そうすると、もっと不思議なことが。
ふと草むらの外の教会のそばに突如立ってる、トービン少年とその両親が映し出される。
「タスケテー」言うトラヴィスの声を聞き、「ダディー、だれかが助けを求めてるよ」って訝しむ少年。
えええ?あれれれれ?アンタなんできれいなカッコしてここにいるんだい。ベッキーだのトラヴィスより先に草むらで迷って出られなくなってるんじゃなかったの?
で、トラヴィスの助けを呼ぶ声を聞いた犬が草むらに入ってっちゃって、それを追ってトービン少年が入り込み、続いて少年の両親も迷い込んでしまうことになるのです。
そんでさらにその少年一家を探すためベッキーとカルが入り込む…って、
いや、時間軸おかしい。
なにこのパラドックス。
無限ループしとるやないか。
わかんないわかんないわけわかんない。
何はともあれ、わちゃわちゃしてたらベッキー、トラヴィス、カル、トービン少年がついに出会います。
おいおい、ベッキー生きてるやんけ、とびっくりぽん(死語ね。タイムパラドックスなので語彙も時代遡っちゃうのよ)。
普通なら死んでた人が生きて歩いてたらもっと「ややや、君死んでたでしょうが」ってひっくり返ると思うんですが、ここは謎の草むら。ただでさえ出られないパニック起こしてるんで、生きてたんならまーいいか、ってなります(トラヴィス、単純でいいなアンタ)。
妹を溺愛するカル兄ちゃんはトラヴィスを「妹を妊娠させて責任を放棄したクソ野郎」と思っており、トラヴィスが改心してるにもかかわらずだいぶ雰囲気悪いんですが、まずは草むらから脱出するのが優先事項。さぁみんな、とりあえず仲良く頑張ろうよ。
少年を肩車して見つけた遠くにある教会目指して草を分け分け歩くも、いつの間にかまた教会がどっかに消えちゃってて、どこがどうなってるのかどっちに向かったらいいのかまたわからなくなっちゃうけど、とにかく頑張れあんたたち。
あー、ワンコ死んどったよ…;
ところがどっこい、頑張る4人を追ってくるのは、「岩」に触ってしまったロス(トービン少年の父)。最初からちょっと怪しかったが、もう完全に目がイっちゃってて、狂った感じです。で、妻殺しちゃったりします。
どうやらこの「岩」が元凶のようです。が、その正体はよくわからない。
コイツがその「岩」だ!
見るからに怪しい。
「岩」は御神体かなんかで、草むらは「岩」を守っている存在なのか、あるいは「岩」と一体の何らかの生物なのか、そこんとこは謎です。どうやら草むらに迷い込んだ人を取り込みたいような感じはするんだけど、なぜなのかは説明されません。
とにかくわけのわからん存在なのです、この岩と草。
でまぁ、皆さん七転八倒し(ずいぶんざっくりだな)、もー誰が生きてて誰が死んでるのかわっけわからない状態なんですが(笑)、最後ついに、空間がねじれる場所を発見。そこから1人、脱出します。ヤッター。
残りの皆さんは、草むらの中で永遠にさまよい続ける存在に。
じ・えんど。
最初から最後までぴっきぴきの緊張感と「え、ちょっと待って」って言いたくなる、論理力ねじまげられる感覚が続き、それがこの作品の魅力でした。
どこが物語の最初なのかもわかんない。
ループから抜け出せない恐怖。
しかも背の高い草むらの圧迫感。
で、結局、何だったのかわかんないのよ。何回も言うけど。
人間って、わからないことに恐怖を覚えるというのありますよね。
「岩」と「草むら」は人間の精神では計り知れない何かであって、一度それに触れてしまうと違う世界に引きずり込まれ、「岩」と「草むら」を崇め称える狂信者になってしまうのかもしれない。そういう宗教的な臭いがしないでもない。
もしくはただ人を食うモンスターなのかもしれない。けれどはっきりとした姿は見えない。
もしかしたらこういうねじれた時空は、普段気づかないだけでそこここに存在しているのかもしれない。
(デジャブとかってもしかしたら、時空のねじれかもしれんよね)
そういうお話でした。
レビューはね、けっこう賛否両論分かれてるみたい。レーティングはけっこう低い。
いやー、私は好きだったけどね。
キング節 & ナタリ節、がっつり利いてるし。
『CUBE』とか『ランゴリアーズ』とか難破船無限ループものの『トライアングル』とか好きな人は多分これも好きです。
毎晩9時に次男、10時に長男が寝てからこんなん観てるから、私は寝るのが遅くなるわけなんですね。
「今夜は早く寝よう…」って思ったけど、同時に「今夜は何観よう…」って思っている自分もいる。
寝る自分と夜中まで映画観る自分が同時に存在するパラドックスがあったらいいのにな。
いや、おかしなことになると困るのでやっぱりないほうがいいか。
いつも応援ありがとうございます!