イギリス生活15年。
小さな学園都市でニュージーランド人夫と、2013年・2016年生まれの息子ふたり、黒猫一匹と暮らしているAnimaです、こんにちは。
ここ最近野獣さんと一緒に毎晩観ていたBBCのミニドラマシリーズを、昨日観終わりました。そのドラマとは・・・
これがですね・・・個人的に、とてもとても怖かった!!
とあるカップルが、1975年あたり(私が生まれた頃よ~)のタイを拠点として、東南アジアやインド、ネパール近辺で連続殺人を犯して金品を奪い、被害者になりすましては世界各地を飛び回り、警察やインターポールを躱していく、という、実際に起こった事件をもとに作られたドラマです。。
この殺人鬼カップルと、彼らを捕えようとするオランダ人外交官およびその仲間たちがドラマの主役。
狡猾に罪を逃れながら次から次へと人を殺して金を奪う、毒ヘビのような男シャルル・ソブラジ(どんな人物だったかはクリックしてみてください)、そして彼にがんじがらめになる共犯女マリー。彼らの正体をつきとめ、鬼のよな執念で彼らを追う外交官ヘルマン。タイから香港、インドへ、フランスはパリへ、そしてネパールへ。カップルは警察の手をのらりくらりと躱し、名前やパスポートを変えてするりするりと逃げ回る。
殺人鬼カップルを捕まえることはできるのか。。。
というお話です。いや、お話というか、実話です。
こちらがドラマの殺人鬼カップル。
主役のシャルル役をやったのはアルジェリア系フランス人の役者さんだそうです。
そしてこちらが本物の殺人鬼・シャルルとマリー。
実在のシャルルはインド人とベトナム人のハーフで、東南アジアとフランスで育ちました。
このカップルは、ヨーロッパやアメリカからアジアに来てるヒッピーの旅行者たちを彼らの犯罪の標的にします。シャルル(アラン・ゴルティエという偽名を使用)とマリー(モニクという偽名を使用)は自由気ままにドラッグをやったり酒を飲んだりパーティーをやりに来てる人たち(単身であったりカップルであったりいろいろです)を自分たちの家に呼んだりハウスパーティーに招いたりします。それから飲み物に薬を混ぜて意識を混濁させ、金とパスポートを奪った上で僻地に連れていき、殴打したり刺し殺したりしてから、被害者が生きていようがいまいが、ガソリンをかけて燃やしてしまうのです。
シャルルはもともと宝石の密売や不法取引をしてて、お金は一見あるように見えるので、こういうパーティーを開いたり警察とお友達だったり、バンコクの地元では一目おかれる存在で、まさか彼が殺人鬼とは誰も思わないんです。
子供の頃に愛情をかけてもらえなかったシャルル。彼の人物像に、優しさや人としての心はないように見えます。女性に愛をささやくのも、すべてが嘘。旅行者を気遣うようなそぶりも、すべて演技。慈悲の欠片もないヤツなのです。
こんなふうに、盛大なハウスパーティーを開いて犠牲者を呼び込みます。
真ん中の男性は被害者のひとり。
殺人の実行犯はシャルルとアシスタントのインド系の男アジェイですが、薬を盛ったり被害者を騙したりするのに加担しているのが、シャルルの恋人マリーです。マリーはもともとはフランス系カナダ人の旅行者で、孤独な彼女はひとり旅の最中にシャルルと恋に堕ち、彼に加担するようになりました。やっと自分を愛してくれる人に出会えた、と思い込んだマリーは、ずるずるとシャルルの手の平で転がされていくようになります。
さて、このヒッピーな旅行者たちが殺されていく場面を見て、私、思い出した。
結婚前に私と野獣さん、東南アジアやインドやらでだいぶアホをやらかしたこと。
よく知らない、言葉も通じにくい土地なのに、裏道のパブだのに行ってはべろっべろに酔っ払い、私なんぞは地元の女の子が立って踊るステージなんかに無理やり上がって一緒になって踊って、ギャングみたいなおじさんに「君は誰?」って問い詰められたり、野獣さんは全然知らない人といきなりお友達になってその人のおうちに飲みに行ったり・・・。
どんだけ危ないことしてたんだ・・・。
これさ、シャルルとマリーが見たら、「いいカモ」ですよね。ソッコーで薬盛られて殺されてます。で、まさに私らのような自己防衛の「ぼ」の字も携えていない、平和ボケした流れ者たちがこのカップルに殺されてたわけです。
シャルルとマリーは、一度旅行者を殺すと、その犠牲者があたかもタイ国を出国したかのように警察や国の目を欺くため、犠牲者のパスポートに自分の写真を貼りつけて偽造し、タイを一度出国します。そして少し経ってからまた帰ってきて、再び殺人・窃盗に手を染める。犠牲者の身元を判明しようにも、入国管理によれば「この旅行者はもう国を出ているのでタイにはいないはず」ということになってしまい、警察による捜査は一向に進みません。
犠牲者の中には、若いオランダ人カップルがいました。彼らも生きながら焼かれて殺され、その遺体が発見されました。この報告を受けて、バンコクのオランダ大使館で働く外交官のヘルマンが、犯人を絶対に捕まえなくてはならない、と必死になり、事件の真相を追跡しはじめます。
ヘルマンさん。
このヘルマンさんが、執念深い!上司にいじめられ、捜査を邪魔され、「オランダに帰れ」などと言われ続けても、とにかく殺人鬼を止めなければならないという鬼のような執念で、とにかく諦めない。シャルルのアパートにスパイを送り込んだりして、何とか事件の真相をつきとめようとします。彼のおかげで、警察やインターポールがシャルルの犯罪に目を留めるようになり、本格的な追跡が始まります。ヘルマンや仲間たちの必死の努力にもかかわらず、シャルルとマリーは上手に逃げ回るんですが、最後、最初の事件から20年以上経ってから、ついにヘルマンが集めた資料のおかげで、シャルルの最後の逮捕が実現し、終身刑が言い渡されることとなります。
とまぁ、こんな感じなのですが、最終話の最後のシーンまで、とにかくドキドキハラハラ。実際の殺人シーンなんかはほとんどありませんが、とにかく緊迫感がハンパないドラマです。
2010年のバンコクの夜。裏道にはいろいろありますよ~。
ストリップバーでお姉ちゃんと一緒に踊ったこともある私・・・(あ、私は脱いでませんよ念のため)。
トゥクトゥクを無理やり運転させてもらったり・・・。これは2008年ですね。
ツーリストらしいこともいろいろやりました。
こういうボートとかに乗ってるのはだいたい白人か日本・韓国・中国人だね。
2010年に私たちはインド(バンガロールとケララ地方)も行ってるんですが、これもまぁ、野獣さんが仕事してる間に私ひとりで歩いてたら、インド人のお兄ちゃんやらおじちゃんやらみんなが声かけてくる・・・。で、僕の家に遊びにいらっしゃい、とか、僕が観光案内してあげるよ、とかいろいろ言われるんですね。歩いてるだけでも、東洋人が少ないからかものすっごい凝視される。これでもしも私が一人で酔っ払ったりしてたら、下手するとカモでしょうね。一人歩きするときはもちろん酒なんか一滴も飲みませんでしたが・・・。
寝台車(車内にネズミ出たよー)でバンガロールからケララ地方に行ったのですが、電車を降りたら荷物持ちのお仕事をしているらしい人がささーっと私らの荷物を奪っていってしまったりとか(笑)、で、待て待て待ちなはれ、と追いかけて、改札出てタクシーなんかが待ってるところで、「はい○○ルピーいただだきます」と請求され苦笑いしたり。
おーい、それ俺らの荷物~~~(笑)。
それから、なんかちょっと景色の良い滝のある川に連れてってあげるよ、とホテルの従業員さんの弟だという人に言われ、連れて行かれて滝を見たり・・・。知らない人にホイホイついてくなんて・・・・小学生以下だな私ら。
なんか仲良さげな野獣さんと良く知らないインドの方。
いや~、何はともあれ、出会う人たちがみんないい人たちで良かったよホント・・・。世の中、悪い人たちばかりじゃないのはもちろんアタリマエですが、中には悪い人もいて、ところよっては悪い人ばっかりいる場所もありますからね。。。
さて、話を戻します。
シャルルが人を殺していると気づいたマリー。徐々にシャルルへの不信感が募り、悩み、怯え、「もう耐えられない」となるのですが、そのたびに、ものすっごいうまくマリーを丸め込んで、いかに彼女がシャルルにとって大切な人であるか、彼女が一人でカナダに戻っても彼女の孤独を埋めてくれるものは何もない、ひとりになれば逮捕されるだけだ、というふうに説得、恐喝して、まさにヘビが穴に入り込むように彼女の心の穴に入り込んでいくんですね。彼女は徐々に、ほとんど精神もむしばまれたような絶望的な状態に陥りながらも、彼と一緒に逃亡せずにはいられなくなる・・・。誰かが止めてくれるまで。絶体絶命になるまで。逮捕されるまで。
このマリー役をやったジェナ・コールマンさんという女優さん。見た目もフランス人っぽいしフランス語が上手だからてっきりフランス語圏出身の人かと思ったら、なんとブラックプール出身の生粋のイギリス人でした!びっくり。
この女優さんがすごくかわいくて、私の好みの顔で、ウホウホ言いながら見てました・・・。こういうきゅっとして鼻の先がぴゅっと上に上がってる顔立ちの女性が好きです。クリスティーナ・リッチとか。こんな顔に生まれたかった(←無理)。
『Killing Eve』のロシア人暗殺者の役をやった女優さんなんかもそうですが、外国人の役がすっごく上手い役者さん、さすがだなぁと思いますね。まるっきりイギリス人じゃないみたいな喋り方って、できるんですねー。
私、日本語訛りの似非ブリティッシュ英語以外、絶対話せないわ。
アメリカンアクセントとかもできないですもん。ニュージーランド訛りはちょっとだけできる(笑)。
あ、なんかまた脱線しましたが、とにかくまぁ、このBBCドラマ『The Serpent』はとにかく、ハラハラドキドキな犯罪ミステリーで、大人な皆様に超おススメです!怖い怖い言ってますが、自分のやってきたことに当てはめて怖い怖い言ってるだけで、ドラマ自体は怖いってことはそんなにありません。
BBCiPlayerが視聴できる方は問題なく観れると思うのですが、その他のアプリで観られるかはちょっとわかりません、ゴメンナサイ。機会があればぜひ。
ドラマの最後に、実在の登場人物たちの現在が映ります。マリーは若いうちに癌で死亡したもよう。そして蛇男・シャルル・ソブラジは・・・
今現在も獄中です。